諦め ページ32
寂雷視点
あれから二ヶ月、ツキカはまだ起きない。
一郎くんたちにも目覚めさせる方法を調べて貰っているが、全く情報が集まらない。
私はベッドで眠っているツキカの頭を撫でる。
寂雷「また………救えない」
ポツリとそう呟いた。
???視点
「おねーちゃん、次は何して遊ぼっか!!」
『私は何でもいいけど………
それにしても、ここはどこなの？』
私はきょろきょろと辺りを見渡しながら言う。
「!!じゃあお姉ちゃん、私と散歩しよ!
ここのこと、教えてあげる!」
『ありがとう!まず、どこから行く?』
少女は「うーん」と辺りを見回して、「あっ」と言った。
「向こう、行こう!私の家がある方!」
『うん、行こう』
彼女に手を引かれるまま、ついて行ってみた。
「ここ!私の家なんだ〜」
『……………?』
案内された先にあったのは大きな家、だったのだが………。
『なんか、見たことあるような……』
私は首をかしげながら呟く。
「どうしたの?」
『何でもないよ。それより、この家の見た目かっこいいね。レトロな感じがする。もうちょっと近くでみていい?』
「うんっ。いいよ〜！」
少し近寄って、外壁を見てみる。
煉瓦で作られていて、高そうな家だった。
『いいね、この家。
私、こういう家好きだよ』
「良いでしょ〜！中も見る〜？」
うん、と返して家の中に入れてもらった。
「おかーさんと、おとーさんが、薬剤師なんだ！だから、この下には研究所があるの！」
この下、とは恐らく地下のことだろう。
何処かで聞いたことのあるような家の構造に、また首をかしげるのだった。
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