flos ページ31
???視点
『…?』
ふと目を開けると、辺り一面に広がっている花畑が写った。
「!お姉ちゃん、今暇？」
向こうから駆け寄ってくる小さい女の子。
髪色が銀に近い白で、綺麗に光っている。
『暇…っていうか…。…まあ、暇かな』
女の子が寂しそうな表情を見せたので、そう返す。
「…!じゃあ、しばらくあそぼーよ!」
私はぎくっとした。
言わない方が良かったかも。
『あ、ごめんっ、私人を探してるから＿＿＿＿＿』
「…ダメなの?」
女の子の目がうるうると滲む。
『あ、いや、駄目って訳じゃ…』
うう、自分にはあの表情はダメージが大きい。
『少し…、少しだけ、ね?』
「!!やったぁ、ありがとうお姉ちゃん!」
少女の笑顔を見て、私は顔を綻ばせた。
「一緒に、これ、作ろ!!」
女の子が差し出したのは、白い花の花冠だった。
「お姉ちゃんさ、さっき誰か探してるって言わなかった?その人、だあれ？」
『…私の大切な、人だよ』
「お姉ちゃんは、その人のこと、好きなの?」
『うん、大好き』
私は微笑みながら答える。
「そうなんだ〜」
女の子も笑った。
しばらくすると花冠が出来たので、二人でぴょんぴょんジャンプしながら喜んだ。
女の子が私の頭に花冠をのせてくれる。
『ありがとう』
そういった瞬間、とある事を思い出す。
『!!!ごめん、私もう行かなきゃ…』
立ち上がると、女の子が泣きそうになりながら私の腕を掴む。
「そこまで大切な人なの!?なんで行かなくちゃいけないの…」
私は答えようと口を開いた。…すると次の瞬間、頭の中がもやでおおわれるような、そんな感覚がした。
「ねぇ、なんで行かなくちゃいけないの………!?」
…なんで…?
…………そんな事言われても……………。
あれ………?
なんで……………。
『なんで行かなくちゃいけないんだっけ…』
もう、何も思い出せない。
私は思い出すことを諦めてしまった。
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