ロマンスな出会い【梅原裕一郎】 (ページ8)

今日:4 hit、昨日:8 hit、合計:72,860 hit

大魔王ページ8

．
．

梅原さんを送り届ける車内は、大丈夫かなと思うほどに沈黙が続いた。気まづいことこの上ないくらい。
そんな沈黙を破ったのは梅原さんだった。

「今日はごめん」
『えっと…大丈夫です。現地集合にしなかった私の責任です』
「や、俺が寝てたのが悪い」

まあそれはそうだな。なんて言えるはずもなく。

『もう遅刻しなきゃいい話ですし！ね！』
「うん。気を付ける」
『はい。えっと、着きました。お疲れ様です』
「お疲れ」

入っていくのを見届けて私も帰宅した。今日は疲れたなぁ。もう寝ちゃいそう。
目を閉じて、開けたら朝だった。
やばっ！と思ったけど、特に行く時間とか決めてないし大丈夫か〜なんて思いながら事務所に行った。

夕方まで事務作業をして、外に出る頃になったらもう暗くなっていた。さ、帰ろうと思ってたら電話が掛かってきた。なんか嫌な予感するけど気のせいかな。

『もしもし』
「今どこ？」
『事務所出たとこです…』
「迎えに来て欲しいんだけど。よろしくー」
『えっ、ちょっと！』

電話の主は梅原さん(大魔王)だった。今日休みなのに…まあ事務所来たからあんま変わんないんだけど。

『なんのご用ですか』
「江口さんに呼ばれてるんだよ。ほんといきなりだわあの人」
『人のこと言えないでしょ…』
「あ？なに？」
『いや、なんにもないです。場所は？』
「ナビに入れるわ」

私の車なのに何故か梅原さんの方が操作方法を知っているナビに目的地を入れてくれた。ここから一時間！？江口さん何してんの！？
言ってても仕方がない。ナビと梅原さんに言われるがまま車を走らせて目的地へ向かった。

「急に呼び出してごめんね〜！」
「本当に急ですねお前は」
「うーん、敬語なのになんかおかしいな。Aちゃんもごめんね。梅ちゃんに呼び出されたんでしょ」
『はい！』
「元気よく返事すんな」
『だって…！』
「このまま帰っちゃうのも申し訳ないしAちゃんも一緒にご飯食べよ！」
『え、そんな申し訳ないです…私帰ります…』

引き返そうかと思ったら凄い力で手首を掴まれた。

『痛い痛い！』
「お前も来い。どうせ帰る時に迎えに来てって連絡するところだったし」
『そんなぁ…！』
「ほら、ね？Aちゃん！今日は俺が奢るからさぁ！」
「やったー、ありがとな。江口」
「梅ちゃんには言ってないんですけど！」

ほらほら、と言われるがまま店内に入った。
江口さんはなんでわざわざこんな遠い所でご飯食べようと誘って来たんだろうか。