ロマンスな出会い【梅原裕一郎】 (ページ4)

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タクシー代わりページ4

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雑誌の取材では写真も撮影するらしい。その際の髪型や服装を指示するのもマネージャーの仕事と教わった。

正直どんな格好でも似合ってしまうフェイスをお持ちなので心配はしていないが、それっぽく『あ、めっちゃいいです』と言っていたら撮影が始まった。

写真はすぐ終わって次は取材。
終わるまでは後ろで待ちながら、オーディションの申込や結果を確認していた。

「終わった」
『お疲れ様です。今日はもうこれでおわりですね』
「台本ある？来週の」
『来週のなら事務所に届いてると思います。明日の現場に持っていきますね』
「後で事務所行く？」
『はい。デスク片付けなきゃなので』
「じゃあ着いていく。ついでに台本貰う」
『わかりました』

明日でいいんじゃないかなぁと思ったけど、着いてきてくれるならいいか。
またもやタクシーに乗って事務所へ向かう。

『…いやなんで！？』
「早く片付けなよ」

デスクの整理整頓をしようと思ったら梅原さんが椅子に座ってスマホを触りだした。台本は渡したはずだ。
帰るなら早く帰って寝て欲しい。

『梅原さん帰らないんですか？』
「なに、帰れって言ってんの？」
『え、まぁ…そうですけど…』
「車で来てるでしょ」
『なぜそれを…』
「朝見た。駐車場から出て来るとこ」
『…もしかして』
「送ってって」
『やっぱり！』

片付けが終わるのを待ってるんだこの人は…！
私をタクシー代わりにしようとしている…！

「領収書の整理しなくていいし楽だなー」
『ちょっとちょっと！私タクシーですか！？』
「そうだよ」
『少しは否定してくださいよ！』
「否定しても仕方ないしな。ほら早く」
『はぁ…』

私、就職先間違えたかな。
今からでも違う人のマネージャーになれたりしないかな。

片付けを一段落させて車に乗った。梅原さんは後部座席に座るかなと思ったけど、助手席に座った。

「ちょっと待って」
『はい…』
「これ俺ん家」
『あっ、登録した』
「こうしとけば忘れないしいつでも送ってもらえるから」
『いつでも…！？』

驚きの言葉に横を向いたけど、梅原さんの目線はもうスマホに向いていた。