ロマンスな出会い【梅原裕一郎】 (ページ13)

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素っ気ないページ13

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江口さん･梅原さんとご飯会。今日は近場で。
昼間話してた兄妹の話題になった。

「Aちゃんってお兄ちゃんいるんだ！」
『江口さんと同い年ですよ』
「へえ〜、会ってみたい。自分と同い年の人とあんま交流ないんだよね」

会ってみたいと言われてもな。

『お兄ちゃん、事故で亡くなったのでもう会えないですよ』
「え、そうなの…？」
「そんなの昼間言ってなかったじゃん」
『えっと…言わなくてもいいかなって思って』
「なんでか聞いちゃだめ？」
『えっとですね』

お兄ちゃんは原付免許を取ってからというもの、家に帰って来なくなった。元々つるんでる人達がそういうヤンチャな感じの人が多くて、その影響もあった。
当時あんまりよく分かってなかったけど両親はしょっちゅう警察に呼ばれたりして大変だったらしい。

『友達と何人かで夜中走ってたのを、転倒した子に巻き込まれてって感じです』
「そうなんだ…俺とは程遠い世界にいたんだ」
「江口さん陰キャですもんね」
「陰キャじゃ…！ないこともないけど！」

なんだかんだお兄ちゃんには色々お世話もしてもらった。小さい頃の遊び相手はお兄ちゃんだった。

『A、A〜ってずっと遊んでくれてる良いお兄ちゃんでしたよ』
「そっか…話してくれてありがとね」
『全然。久しぶりにお兄ちゃんのこと思い出せて良かったです』
「俺の事お兄ちゃんって思ってくれていいからね！」
「うわぁ…」
「ちょっとなんでよ！」
『ふふ、ありがとうございます』
「梅ちゃんがさっきから足蹴ってくるからトイレ！」
「意味わかんねえ」

梅原さん、蹴ってるあなたが悪いですよ。
江口さんが個室を出て二人になった。

「A」
『…』
「おい」
『…はい』

急に名前を呼ばれてびっくりした。さっきまで黙ってたじゃん。

「兄ちゃんから、てめぇって呼ばれたりAって呼ばれたりしたんでしょ」
『えぇ、まあそうですね…はい』
「どっちがいい。てめぇか、Aか」
『それはもちろんAです！』
「じゃあ、今日からA」
『…名前で呼んでくれるってことですか』
「そういうことだと思ってたらいいんじゃない」

これは梅原さんなりの優しさだろうか。
小さい頃、私がお母さんに怒られてしょげてた時に、お兄ちゃんがお菓子をくれた事がある。元気だしてってこと？って聞いたら「そうなんじゃない」と素っ気ない返事をされたのを思い出した。
それと似ていて、なんだか少し泣きそうになった。