なみだぼくろとオオカミ。（黄） (ページ23)

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貴『…なんじゃこりゃ。』

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なんでかわからないけど、

左の頬からこめかみあたりまで青くなってる。

…こんな顔だったんだ。

なんでだろ。

たぶん椅子が頭にあたったと同時に、

椅子の脚が顔にぶつかったんだな。

…うん。

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貴『…ひっどい顔。』

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強がって、弱くなって、

あざになっちゃって。

やきもちというものをした後の顔。

あの二人にこの顔を見られた。

…あいつにこの顔を見られた。

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…心配というものもなかった。

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自分はあいつにとって

そこまでの人間でしかないんだ。

そう考えたら、

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貴『…』

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意味のない涙が流れてきた。

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なんで泣いているの？

あいつにとってそこまでの人間でしかなかった。

だから何？

別にいいじゃん。

嫌われたって。

こんな顔見せたって。

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別に

“恋”というものをしているわけじゃないんだから。

別に

それでいい。

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