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5.殺す ページ5

太宰に話さないといけないのは,ここからだ。



太宰が抜けて,私は首領の秘書的役割になった。

相変わらず忙しかったが,常に胸に穴が開いているような気持になっていた。
丁度,太宰と同じ大きさの穴が。



私は入念に,復讐の計画を立てた。

首領に許可も貰ったし,そいつに連絡も取れた。

決行日を決め,そいつを呼び出し,人気のない処迄誘い込んだ。


そこ迄だ。良かったのは。


突然,私の躰から炎が出た。
今度も左側から。
傷を隠すように巻いていた包帯が燃え上がる。

男はニタァと嗤って逃げようとする。

「待て」

男が振り返―――った瞬間,私の回し蹴りが男に刺さる。

「グアッ」

短く悲鳴を上げ,男が吹き飛ぶ。

私は手で押さえたり壁に押し付けたりしながら躰の火を消す。


「お前は3年前,私の家族を殺し,私の凡てを焼いた」


云い乍ら,私の焼け落ちた包帯が,はらりと落ちる。


「!!!」


男の目が,驚いたように見開かれた。


「嗚呼,君! あの時の子供か!
 僕が殺し損ねた,死に損ない。
 まだ生きていたなんて……。
 ずっと,ずっと後悔していたんだよ」


男はそこで一旦言葉を切る。

その目には歓喜の光が宿っていた。



「君を,殺さなかった事を!!」



バン!



私の拳が,男がいたであろう処の壁を砕く。
男は跳んで回避した。


もう,何も考えていない。

家族の復讐も,こいつへの恨みも,自分の事も。

ただあるのは,透明な殺意。

何処までも研ぎ澄まされ,極限まで鋭くなった,殺意。


殺す。


私が,殺す。

6.醜い人間は……→←4.異能力と別れ



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SEA(プロフ) - 村人Cさん» コメントありがとうございます。全然更新してなくて本当に申し訳ないです……。頑張ります! (__) (2023年2月10日 23時) (レス) id: 40e007873e (このIDを非表示/違反報告)
村人C - 更新楽しみにしてます (2023年2月9日 22時) (レス) @page23 id: 5242a52298 (このIDを非表示/違反報告)
SEA(プロフ) - 南無いちさん» コメントありがとうございます。おかげさまでめっちゃ頑張れそうです笑 これからもよろしくお願いします! (2022年12月27日 16時) (レス) id: 40e007873e (このIDを非表示/違反報告)
南無いち(プロフ) - 切ないのに甘くて最高です!!!if編も読めるなんて感激です!!更新楽しみです!!頑張って下さい!! (2022年12月27日 16時) (レス) id: b659a75de8 (このIDを非表示/違反報告)
SEA(プロフ) - エリスさん» コメントありがとうございます。最近更新できていなくて申し訳ないです……。良いものが書けるよう頑張ります。 (2022年12月27日 12時) (レス) id: 40e007873e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SEA | 作成日時:2022年11月26日 12時

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