森本刑事の恋愛日記７【完】

誕生 ページ28

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すっかり陽も落ちた頃いよいよ陣痛が本格的になり、破水を経て出産が始まる。




Aの手を両手で包み込む。

でもそれ以上に、Aが俺の手をこれまでにないくらい1番強く握っている。



痛いよね。Aだけに背負わせてごめん。









「頑張れ、A頑張れ」



強烈な痛みに耐えるAに俺の声なんて届いてるのかわからないが、繋がっている手に全力で俺の気持ちを込める。




『はぁ、はぁ…………ん〜〜きた、』





もう俺には何がなんだかわからないけど、そばにいてあげることしかできていないけど、助産師さんや先生のおかげで順調に進んでいった。














『ん〜〜〜………！』

助「……はい！おめでとうございます、可愛い女の子ですよ〜！」



助産師さんの手の中に抱えられているのは、紛れもなくAが出産した赤ちゃん。


でも、違和感を感じて。







「……泣かない、」

助「先生、お願いします」

先「はい。ちょっとお預かりしますね」

助「新生児科の先生に診てもらうから、ちょっと待ってくださいね」






小さな保育器のような籠の中に赤ちゃんは寝かせられ、先生が体をさすったりして呼吸を促す。









「………大丈夫だよ、」


Aの表情を見れば疲れて息を整えながらも明らかに不安そうな顔をしていて。





2人で手を握り合って祈るような気持ちでしばらく見守っていれば、赤ちゃんが泣き始めた。








『泣いた、………泣いた、琢磨、』

「うん、！」









情けないけど、涙が溢れて止まらない。




生きてる。生きてるよ、俺たちの赤ちゃん。


生きて、産まれてきてくれたよ。




「ありがとう、ありがとうA…！」





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