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｢んんー、そうね…。強い式神程調伏するのも、制御するのも難しいの。恵は良く知ってる筈よね｣
｢…ああ｣
静かに頷いた恵に、私の式神も同じ類だと説教中の彼等を遠目に見つめる。
私の式神の媒体は私の血だ。
その質や量によっては強さも変わり、与える呪力量によっても左右される。
｢与える力が弱ければそれだけ制御も効く、強ければ効かない。それだけの話しよ。後は、魂を元の姿に戻す事は簡単に出来るけれど、その逆って凄く難しいのね？歴代の術師はあまり強い力を与えられなかったみたいだから普通に戻せた様だけど、私が呼び出す場合は元に戻すの難しいのよ｣
｢だから式神の意思で戻ってもらってるってことか？｣
｢信頼があってこそね。あのまま何処へでも行けちゃうってことでしょう？｣
そういう事ねと、二人に頷き返す。
他にも、彼等の意思の他にも自然という方法もある。
彼等は顕現する為に常に呪力を消費している。その身体に宿る私の呪力が底を尽きれば、自動で私の身体へと魂は還るのだ。
｢何処へでも行けるけれど、そのうち呪力は尽きてしまうって感じ__ああ、もう次の任務行かなきゃ。鈴！もういいかしら！｣
何となくスマホの電源を入れれば、表示された時刻に少し焦った。
今日の任務はこれだけでは無いのだ。今日中に関東の任務を終わらせてしまいたい。
《すまないな、A。》
｢大丈夫よ。それより今日から長期出張だから出番多いかも、宜しくね｣
私の呼び掛けに、不貞腐れた表情の天と涙目の紅葉を引き連れそう謝罪した鈴。
別にいつもの事だし、その度に何とかして貰っているので鈴には凄く感謝している。
｢喧嘩する程仲がいいってよく言うでしょう？｣
《そんなの迷信だと思うがな》
鈴の言葉に後ろで未だ睨み合っている天と紅葉を見つめ、確かにその通りかもしれないと私達は苦笑を浮かべた。
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作者名：HamA | 作成日時：2020年12月14日 0時
