47.fushiguro ページ49
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「さあ、誰から始めましょうか。」
長い髪を纏め上げ、白く細い首筋をさらけ出しながらそう言ったA。
二年生が後退りする中、俺は虎杖の亡き姿を思い出し一歩を踏み出す。
特級術師が稽古を付けてくれる、俺は強くならなければならないのだ__
「A、俺から頼む。」
「…ええ。」
何故か少し悲しそうな笑顔を浮かべたAに違和感を感じたが、直ぐにどんな稽古にしようかと考え始めた彼女。
どうやら、午前中真希さんとパンダ先輩に近接戦の稽古をつけて貰っていたのを見ていた様で、ワンランク上げようと稽古内容を告げられた。
「応用よ、恵。久し振りに式神勝負といきましょう、勿論術師本人も参加よ。」
「…?Aさんって式神遣いだったの?」
「Aは複数の術式を持つ術師なんだよ。野薔薇が知ってるのは霊鬼呪法だろ?あれは鬼禱家相伝の術式だ。」
そんな会話を繰り広げる釘崎と真希さんを横目に、頼むから俺の式神を壊さないでくれと心の中で願う。
霊鬼呪法以外にも式神を扱う彼女は昔良く俺の稽古に付き合ってくれたが、一度足りとも勝てた試しが無い。
流石に実戦経験も積みそれなりに力も付けた今の俺ならば、かすり傷一つ付けられるぐらいになっている筈。
そんな事を考えていれば、Aは暑苦しいウィンドブレイカーを脱ぎ捨て、少し薄着過ぎでは無いのかと心配になるキャミソール一枚の姿になる。
太陽の光に照らされ輝く白い肌、程良く割れた腹筋、豊満な胸元。そして、その華奢な身体に不似合いな右鎖骨から左二の腕にかけて刻まれた三体の鬼と複雑な紋様の刺青。
「えっ!Aさん刺青!?」
「ああ、違う違う。式神召喚する為の印よ。昔は地面とか紙とかに書いてたんだけどね、戦闘中そんな事やってられないし荷物も増える。時短の為に身体に刻んじゃった。」
「あの
真希さんのその言葉に、自分がまだ中学生だった頃の記憶が蘇る。
__一つ、考えてみて欲しい。
あのA大好きAに傷一つでもつけた奴は殺すA溺愛男が、その身体にあんなに厳つい印を刻む事を許すと思うだろうか?
答えは、否である。
「あの人が許す訳ないでしょう。建物一つ崩壊させる大喧嘩でしたよ。」
二年程前のいつかの日を思い出し、俺は溜息を吐いた。
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作者名:HamA | 作成日時:2020年10月20日 21時