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43. ページ45

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「…悠…仁…。」


「鬼禱先生…?えってか俺フルチンじゃん恥ずかし。」




やはり、彼の魂は何処にも見当たらなかった。

(すなわ)ち彼は死んでいない。その事実を口にした時、悠仁は眠気眼を擦りながら身体を起こし、不思議そうに私を見つめる。

恐らく、胸の傷が塞がっている辺りを見るに宿儺と何かしらあっての事だと思われるが、今は彼の帰還がただただ嬉しい。

それは悟も同じだった様で、私達は悠仁の帰還に手を掲げ___




「「悠仁、お帰り!!」」


「…オッス!ただいま!」




ハイタッチを交わした。

然し、私のこの喜びはハイタッチだけでは抑えきれない。

自分が雨でびしょ濡れだという事を忘れ、悠仁に勢い良く抱き着く。




「えっ!?鬼禱先生!?てかびしょ濡れじゃん!風邪引くよ?」


「ちょちょちょ、いくら嬉しいからって悟くんそれは嫉妬しちゃうかな〜。」




折角感動の再会を果たしているというのに、そう言った悟に無理矢理引き剥がされた。

離せ今は悠仁の温もりを感じていたいと全力で暴れたが、耳元でいい加減にしないと夜痛い目見るよと静かに言われ大人しく引き下がった。

それから伊地知に高専の地下室へと悠仁の案内を頼み、硝子さんと三人で医務室を後にする。




「あー、報告修正しないとね。」


「「いや。」」




高専内の廊下を歩きながらそう言った硝子さんを悟と二人で制する。

どうやら考えている事は同じな様で、悟と目を合わせ口角を上げた。




「そのままでいいよ、硝子さん。」


「また狙われる前に、悠仁に最低限の力をつける時間が欲しい。」


「んー?じゃあ虎杖がっつり匿う感じ?」




硝子さんの言葉をまたも否定し、京都校との交流会迄には復学させると伝えれば返される疑問。

何故かなんて、そんなの決まっている。

たった一度の十六の夏、青い春だ。




若人(わこうど)から青春を取り上げるなんて、」


「許されていないのよ?」


「「何人(なんぴと)たりともね。」」




__夏の訪れを報せる様に、蝉の鳴き声が響き渡った。




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作者名:HamA | 作成日時:2020年10月20日 21時

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