検索窓
今日:9 hit、昨日:5 hit、合計:623,238 hit

12. ページ14

.




「伊地知、お疲れ様。」


「お疲れ様です、鬼禱さん。」




相変わらず痩せこけた頬と目の下に隈を携えた伊地知に挨拶をしながら車に乗り込む。

私より少し歳上の彼は、超がつく程の仕事人間だ。

運転席から手渡された端末を受け取り、これから向かう現場の状態や呪霊の情報を頭にインプットしながら伊地知と他愛の無い話をする。




「伊地知、ちゃんと寝てる?」


「ええ、仕事の合間に仮眠をしっかり取っていますよ。」




仮眠はちゃんと寝ているとは言わないのではないかと疑問に思ったが、此処でそれを言ったところで感覚がズレている彼に話は通じないだろう。

加えて、食事はしっかり取っているのかと聞けば、栄養ドリンクやらカロリーを摂取できる菓子の様な物などを食べていると聞き、流石にまずいのでは無いかと思い、端末の電源を落としながらバックミラー越しに彼の顔を見据え口を開く。




「伊地知、食事も睡眠も仕事の内よ。貴方がいなければ進まない仕事が沢山あるし、私と悟はいつも貴方のスムーズな事務仕事に助けられてるわ。彼は御礼なんか言う様な人では無いから、分かりにくいと思うけれど。…元気で居て頂戴。」


「っ…、はいっ…。」




自分の事をそんなに心配してくれるのは私と家入さんだけですと泣き始めた伊地知の肩に手を乗せる。

彼はとても優秀な補助監督だ。

彼と行く任務は、事が早く進んでやり易い。

私や悟の我儘を実現させ、上に文句を言われる板挟み状態の彼を、皆も少しは労った方が良い。




「皆、貴方が出来る人だって分かってるから無茶を言うの。私もそうだから人の事言えないけれど、いつも有難う。」


「泣かせないでください本当にっ…!」




涙で視界が歪んでいるのか車内が僅かに揺れ、安全運転して頂戴ねと、泣いている伊地知に笑いながら注意をした。




.

13.gojo→←11.gojo



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (162 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
669人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:HamA | 作成日時:2020年10月20日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。