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「っく、ひっく…うぇぇぇっ…!」
「ゆうや、こっち見て」
立ち尽くして泣きじゃくる雄也に、慧が視線を合わせた。
あれから。「いい加減にしなさい!」「心配したんだよ!」といつもより強い口調で叱られながら、これまたいつもより痛い靴べらでお仕置きをされて、さすがの雄也も小さな子供のように泣きわめいた。
初めのうちは「だって」「違う」と言い訳しようとしていたのが、言い訳さえも言えなくなって、「もうしません」と「ごめんなさい」を涙ながらに繰り返し…
何度ごめんなさいをしても本当に聞いてもらえない絶望を味わいながら、やっとのことで手を止めてもらったのだ。
何だかんだ優しく甘やかしてくれる慧が、何を言っても怖いままで、雄也は自分のしたことがどんなに悪いことか自覚した。
それでもやってしまったことは取り消せなくて、自分の行動でこれだけ慧を怒らせてしまった事実にズキズキと胸が痛い。
「どうしてお仕置きされたの?」
「もん、げんっ…やぶったからぁっ…」
「一回だけだったらパパだって怒らないよ?」
「っ、なんかいも、やぶった…!パパのいうこときかなかった…」
「そうだね。ごめんなさいも、もうしないも、何回も言ったのに何回も破ったでしょ。約束守ってくれないのは悲しいよ?」
「ふぇ、ぅ……ごめ、なさぃっ…」
「夕方は危ない目に遭いやすいの。だからちゃんと門限守ってほしい。暗くなって帰ってくると心配するんだからね。本当にちゃんと守ってくれないと、パパはもっと雄也に厳しくしないといけなくなるよ?」
いやだ!と必死に首を振ると、慧が少しだけ微笑んだ気がした。
「もうわかった?」
「ぁいっ…」
泣きすぎて口がまわらないほどしゃくり上げて、止まらない涙を必死にこする。
これで少しはやんちゃな行動が落ち着くかな?と、慧は思った。
「おいで、雄也。仕上げするよ。パパの膝ね?」
慧は玄関の一段上がったところに腰掛けて、ぽんぽんと膝を叩く。
雄也はまだ終わらないことを悟って、涙で濡れた瞳を揺らした。
「なんで〜っ…もうおわりぃ…」
「反省してるなら靴べらは使わないよ。だから自分でおいで」
「ひっ……ひぐっ…」
「おいで?来れるよね?」
もちろん行きたくないに決まっている。
お尻はもう、感じたことがないくらい痛くて熱い。まだ許してもらえないことも十分なくらい堪えているのに。
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いちとま - みつあめさん» もう何周も読まさせて頂いています!これからも過去の作品たちを読み返しながらゆっくり待っていますね(*ˊ▿ˋ*) (2022年11月27日 13時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - いちとまさん» う、嬉しすぎます😭❤︎ありがとうございます!これからも面白いと思ってもらえる作品を残せるように頑張ります✨ (2022年11月22日 23時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
いちとま - みつあめさん» 書き方って、中々納得いくものに出会えないですよね!別の方のこのジャンルのお話を読んでも何処か物足りなさを感じて、結局みつあめ様の作品を読み返しているんですよね😂それ程に面白いと思っています!ご多忙だとは思いますが、いつまでも次の更新を待っています! (2022年11月22日 2時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - いちとまさん» お久しぶりです!コメントありがとうございます✨作品を作る上で書き方は日々迷走して苦しんでいる部分でもあるので、褒めていただけてとても嬉しいです!これからもマイペースな更新になるかと思いますが、よろしくお願いします🙇♀️ (2022年11月20日 21時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
いちとま - 久しぶりにコメ失礼致します!僕はこのジャンルを取り扱われている方の作者様の中でもみつあめ様の書き方が1番好みなんですよね!なので、サイトの方も此方も更新すごく楽しみにしています!みつあめ様のペースで頑張って下さい(^-^) (2022年11月19日 21時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みつあめ | 作成日時:2022年8月3日 0時