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真っ赤に染まった痛々しいお尻にタオルを置いて、その上に保冷剤を乗せる。
もう何に触れても痛いようで、びくびくと強張る体に、山田は少しだけ申し訳なくなった。
雄也が横になっているソファの隣にちょこんと座って様子を伺う。
「…大丈夫ですか?」
「…っ、……それさぁ、聞く?」
「いや、だって…なんて言葉をかけたらいいのか…そりゃあ叩いたのは俺ですけどっ」
「元はといえば雄也さんが無理して倒れるのがいけないんすよ!」といつも通り吠えたが、山田も多少、今回のお仕置きをどう受け止められるか不安に思うところもある。
「…すいません、病み上がりなのに…っていうか、病み上がってもないですよね、倒れたの今日だし…結構叩いたし…」
「……はぁ。全然大丈夫じゃない。明日の撮影も稽古も動けるのか不安で仕方ない。そもそも普通に歩けるのか心配」
「す、すいません…」
「……けど、無理して悪かったなっては、思ってる」
「!…雄也さん、」
「……ごめん、倒れて。何も言わなくて、ごめん」
「…はい。もう、無理したらダメですよ?無理する前に、ちゃんと言ってください」
「…ん」
わかってくれて良かったと、山田はほっとした。
光から聞いた驚きの方法はきちんと効果ありで、あんなに頑なだった雄也が頷いてくれるなんて、山田にとってこれほど喜ばしいことはない。
もう絶対に、無理をして倒れるなんて、あってほしくないのだから。
「今日は泊まっていってくださいね」
「え、いいよ、帰る…」
「ダメですよ、今日くらいしっかり休んでもらわないと…見張りも兼ねてるんですから」
「はぁっ?なんだよそれ…」
「前科あるんですから、大人しく従ってください。…それに、うちから一緒に出た方が効率いいでしょ。何か必要なものがあれば朝寄りますから」
山田の押しに、雄也は渋々頷いた。
目を覚ました時にも思ったが、リビングまでいい匂いがしている。山田は食べやすい食事も作っていて、看病する気満々のようだ。
看病されることに初めは乗り気ではなかった雄也だが、しばらく横になっていると次第に瞼が重くなっていく。
「少し寝てください。起きたらご飯食べましょ?」
うつ伏せた雄也にブランケットをかけてやり、その背中をさする。雄也は鬱陶しそうにする素振りを見せつつも、日々の疲れもあってすぐに眠ってしまった。
作ったご飯は後で食べてもらおうと蓋をして、山田は明日のスケジュール調整に入った。
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いちとま - みつあめさん» もう何周も読まさせて頂いています!これからも過去の作品たちを読み返しながらゆっくり待っていますね(*ˊ▿ˋ*) (2022年11月27日 13時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - いちとまさん» う、嬉しすぎます😭❤︎ありがとうございます!これからも面白いと思ってもらえる作品を残せるように頑張ります✨ (2022年11月22日 23時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
いちとま - みつあめさん» 書き方って、中々納得いくものに出会えないですよね!別の方のこのジャンルのお話を読んでも何処か物足りなさを感じて、結局みつあめ様の作品を読み返しているんですよね😂それ程に面白いと思っています!ご多忙だとは思いますが、いつまでも次の更新を待っています! (2022年11月22日 2時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - いちとまさん» お久しぶりです!コメントありがとうございます✨作品を作る上で書き方は日々迷走して苦しんでいる部分でもあるので、褒めていただけてとても嬉しいです!これからもマイペースな更新になるかと思いますが、よろしくお願いします🙇♀️ (2022年11月20日 21時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
いちとま - 久しぶりにコメ失礼致します!僕はこのジャンルを取り扱われている方の作者様の中でもみつあめ様の書き方が1番好みなんですよね!なので、サイトの方も此方も更新すごく楽しみにしています!みつあめ様のペースで頑張って下さい(^-^) (2022年11月19日 21時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みつあめ | 作成日時:2022年8月3日 0時