あ ろっと おぶ…らぶ ▽１０

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伊野尾は数年前に元子役として再ブレイクした時、かなり爆発的に顔が売れ、どこもかしこも引っ張りだこ。
当時は全てこなすために、ほとんど寝ない生活をしていたらしい。体を休めろと言っても、聞かずに台本を読み込む毎日。頑固な伊野尾に、光もそうとう手こずっていたという。



「でもそーいうときはまぁ、力技だよね」

「力技？」

「一回さ、倒れるまで仕事した時に、ひっぱたいて叱ったんだよ。そしたらそれ以降は割と、落ち着いたかな」

「ひっぱたく？顔いったんですか？」



さすがにタレントの顔はな…と山田は考えこむ。タレントはいわば事務所の商品だ。自ら傷をつけるわけにはいかない。

山田の考えていることがわかったのか、光はクスリと笑って眉を下げる。



「さすがに顔はまずいし、お尻ね。そしたらいのちゃん、子役してた時についてたマネージャーにもされてたんだって。昔も似たようなことで叱られて散々泣いたこと思い出したって言って、わんわん泣いて」

「えっ、マジでお尻叩いたんですか！？子供にするみたいに！？」



うそだ！と山田は驚く。

大の大人のお尻を叩いて叱ったなんて…ちょっと驚きの方法すぎる。光もわかっていて苦笑した。



「俺だって必死だったんだよ 笑 あの子一回意地張ると何言ってもダメだからさ…。でも、お尻叩かれて泣いたら頭冷えたって。自分の意志だけじゃなくて、周りの言うことも聞かないといけないって思い出したって言ってたよ」

「…そうか、そういうことも、あるんですね…」



山田も小さい頃にはそんなお仕置きをされたことがある。というか、比較的そういったお仕置きのある家だったのだと大人になってから気がついた。

それでも、自分がされていたのだって小学生の頃までだ。

だからこそ余計、小さい子供にするお仕置きのイメージが強い。



雄也に効くかどうかはわからないけどね、と言った光に、山田はまた悩ましい顔をするのだった。

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