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やっと素直になった宏太の手をとって視線を合わせる。
「宏太が光のこと可愛がってるの、パパはわかるよ。でも、いじわるばっかり言ってたら、光は宏太の気持ちがわからなくなるし、嫌な気持ちにもなる。わかる?」
「…ん、はぃ…」
「ほんとは大好きなんだから、ちゃんと優しい言葉使ってあげて。いじわるはほどほどに。できるよね?」
こくん、と頷いた宏太の頭を撫でると、小さな声の「ごめんなさい」が聞こえた。素直なその言葉にほっとして、「ひかが終わるまで待っててね」と頬の涙を拭ってやる。
振り向けば、うじうじと下を向くもう1人の問題児。侑李は気を取り直して向き直る。
「光、」
「!」
「おいで。光の番」
光は目にいっぱい涙を溜めて、ふるふると首を振る。
「ひか?パパが引っ張ってお膝に乗せないとだめなの?」
「…やだ、にぃにがわるいもん…ひかじゃない…」
「もぅ…」
いつも素直に膝に乗れないのは兄弟揃って同じ。侑李はやっぱりため息が出た。
結局、無理矢理手を引いて膝の上に乗せる。
パチンッ!!
「!!」
ちいさなお尻を打つと、衝撃でほろりと涙が頬を伝う。
ぐすぐすと既に泣きに入っていて、そんなにお仕置きが嫌ならケンカをしないでほしいと常々思う。
パチンッ!!パチンッ!!
「あ、やぁあっ…ひぅっ…」
パチィンッ!
「わぁあんっ…うわぁあーーんっ!!」
光はもう、ここがキャンプ場のコテージで、仲良しの友達と来ているということも忘れて泣きじゃくる。
「なんでっ…にぃに、わるいもんっ!ひかじゃないもん!」
「ケンカしても叩いたり、もの投げたらダメっていつも言ってるでしょ」
パチィンッ!パチンッ!!
「っ、だってにぃに、いじわるする〜っ!」
「それは、さっきにぃにに反省してもらったでしょ。ひかは、ひかが悪かったことを反省するんだよ?」
「だって…だって…」
いじわるされたからやり返した。理屈はわかるが、だからといって叩いて良いわけではない。イライラしても手は出したらダメと、光には普段から言っているので尚更守ってほしかった。
パチンッ!!パチンッ!!
「わぁあんっ やだぁーっ!!」
パチィンッ!
「いたいぃっ!!」
「痛いねぇ。叩かれたら痛いって、光が一番よく知ってるでしょ」
侑李の手は大きい方ではないが、息子たちにとっては十分大きくて痛い。
光はジタバタと身を捩った。
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いちとま - みつあめさん» もう何周も読まさせて頂いています!これからも過去の作品たちを読み返しながらゆっくり待っていますね(*ˊ▿ˋ*) (2022年11月27日 13時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - いちとまさん» う、嬉しすぎます😭❤︎ありがとうございます!これからも面白いと思ってもらえる作品を残せるように頑張ります✨ (2022年11月22日 23時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
いちとま - みつあめさん» 書き方って、中々納得いくものに出会えないですよね!別の方のこのジャンルのお話を読んでも何処か物足りなさを感じて、結局みつあめ様の作品を読み返しているんですよね😂それ程に面白いと思っています!ご多忙だとは思いますが、いつまでも次の更新を待っています! (2022年11月22日 2時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - いちとまさん» お久しぶりです!コメントありがとうございます✨作品を作る上で書き方は日々迷走して苦しんでいる部分でもあるので、褒めていただけてとても嬉しいです!これからもマイペースな更新になるかと思いますが、よろしくお願いします🙇♀️ (2022年11月20日 21時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
いちとま - 久しぶりにコメ失礼致します!僕はこのジャンルを取り扱われている方の作者様の中でもみつあめ様の書き方が1番好みなんですよね!なので、サイトの方も此方も更新すごく楽しみにしています!みつあめ様のペースで頑張って下さい(^-^) (2022年11月19日 21時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みつあめ | 作成日時:2022年8月3日 0時