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涼介は聞こえたごめんなさいに手を止める。
「慧?何がごめんなさい?言える?」
「んっ、んぅ…こーたとひかると、けんかしたぁっ…そんで、ふたりのことたたいた…」
「叩いてよかったと思う?」
「だめ、だった…」
もう意地を張っていないとわかり、涼介はほっとする。
最後に3度、ぱちん!ぱちん!ぱちん!と仕上げをして、慧を抱き起こした。
「ふっ、ふぇぇ…あぁーんっ!!」
「けーい?おいで」
「う、うぅ…おとーさんっ…」
「ん、もうわかったね?」
「うんっ…」
慧は頷きながら、ほんのり色づいたお尻をさすっている。
基本的には良い子なのだが、たまにこうしてお仕置きが必要になる息子に、涼介は苦笑する。
「よし、いい子になったし、みんなのとこ戻るか」
「んっ…」
窓を開けて換気をしていた和室はだいぶ空気の入れ替えができて、埃を気にせず寝ることができそうだった。涼介と慧は窓を閉めて、一階に戻る準備をする。
ふと涼介が振り返ると、慧はまだお尻をさすってそわそわと落ち着かないようだ。
「そんなに痛いの?笑」
「!ん、むぅ…」
「ごめんごめん、ごめんって。拗ねんなってそんなに」
おもちみたいになってんぞ?と膨れたほっぺたを両手で包むと、慧はかがんだ涼介の首に腕を回して抱きついた。
「おしおき……やだったの…!はずかしかった…」
「おうちじゃないから?」
「んっ…」
拗ねて甘えたになっている慧を抱き上げて、涼介はもう一度布団の上に座った。
「言ったろー?悪いことしたら外でも関係なくお尻叩くよって。さっきまで悪い子だったのは誰?」
「…もういいこだもん…」
「…ふふっ、まぁ、そっか。もういい子だもんね?」
よしよしと背中を撫でてめいいっぱい抱きしめる。
よくよく考えれば、今一階に降りたところで侑李のところはきっとまだお仕置き中だろう。それに、慧がケンカを止めようとしたことや、場所を譲ってあげようとしたことをもっとしっかり褒めてあげたかった。
「ヒカと場所変わってあげようとするなんて、偉いじゃん。慧の優しいところ、お父さんはすごいと思うよ?」
「だってねひかる、端っこやだって泣いてたもん…」
「でもさ、慧だって真ん中がよかったんでしょ?それを譲ってあげられるの、なかなかできないよ。かっこいいよ」
照れて恥ずかしそうにするのを微笑ましく眺めながら、もう少しゆっくり甘やかしてあげようと涼介は思うのだった。
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いちとま - みつあめさん» もう何周も読まさせて頂いています!これからも過去の作品たちを読み返しながらゆっくり待っていますね(*ˊ▿ˋ*) (2022年11月27日 13時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - いちとまさん» う、嬉しすぎます😭❤︎ありがとうございます!これからも面白いと思ってもらえる作品を残せるように頑張ります✨ (2022年11月22日 23時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
いちとま - みつあめさん» 書き方って、中々納得いくものに出会えないですよね!別の方のこのジャンルのお話を読んでも何処か物足りなさを感じて、結局みつあめ様の作品を読み返しているんですよね😂それ程に面白いと思っています!ご多忙だとは思いますが、いつまでも次の更新を待っています! (2022年11月22日 2時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - いちとまさん» お久しぶりです!コメントありがとうございます✨作品を作る上で書き方は日々迷走して苦しんでいる部分でもあるので、褒めていただけてとても嬉しいです!これからもマイペースな更新になるかと思いますが、よろしくお願いします🙇♀️ (2022年11月20日 21時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
いちとま - 久しぶりにコメ失礼致します!僕はこのジャンルを取り扱われている方の作者様の中でもみつあめ様の書き方が1番好みなんですよね!なので、サイトの方も此方も更新すごく楽しみにしています!みつあめ様のペースで頑張って下さい(^-^) (2022年11月19日 21時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みつあめ | 作成日時:2022年8月3日 0時