・ ページ14
シャワーを浴びて、温かいお風呂に浸かって、慧は少しだけ落ち着いたようだった。
用意されていた新しいパジャマに身を包んで、父の待つリビングまで来た。
「ぱぱ…」
「お、大丈夫だった?」
「うん…」
おねしょのことを、光は大丈夫だよと言ってくれたが、やっぱり慧にとってはものすごく恥ずかしい失敗だ。
なんとなく顔を見れなくて俯いていると、光がソファから手招きした。
「慧、ちょっとおいで」
傍まで行くと、手を取られて向かい合うように膝に座らせられた。
「慧。パパから3つ質問です。正直に答えてね?」
「…?うん…」
「質問いち。慧は寝る前に、何か甘いものを食べたり飲んだりしませんでしたか?」
「っ!……ぇ、えっとぉ…」
「パパ、アイスはだめだよって言ったよね?本当にあのあと食べなかった?」
慧は思わず下を向く。心当たりがしっかりとあるのだ。
それは、慧がお風呂から上がってすぐのこと。
『ぱぱぁ、アイス食べてもいーい?』
『今!?だめだめ、お腹痛くなるよ?』
『え〜』
『学校から帰ってきてひとつ食べてたでしょ。1日2つはだめ。慧お腹弱いんだから』
『ちぇ〜』
そんな会話をした後、光が洗濯物を取りに行った隙に、冷蔵庫を開けてジュースを発見した慧は、ジュースならいいかと光に隠れてこっそり飲んだのだ。
寝る前に甘いものはダメ!といつも光に言われているのに、それを破ってしまっていた。
「…ジュース、、のんだ…」
「…パパ良いって言った?」
「ううん…」
ふるふると首を振る。
「寝る前に甘いもの、食べたり飲んだりしちゃダメって約束でしょ?体冷えちゃうからアイスはダメだし、ジュースは、トイレが近くならないように禁止してたんだよ?」
「!」
「ジュースって、ついたくさん飲んじゃうでしょ?寝る前にたくさん飲んだら、我慢できなくなるかもしれない。おねしょは自然なことだから仕方ないけど…なるべくそうならないように、決めてたの」
知らなかった。寝る前にジュースも飲んじゃいけないなんて、うちだけが特別厳しいのだと思っていた。光が、体が冷えないように、おねしょをしないようにと考えて決めていたとは思いもしなかった。
「質問ふたつめ。慧は寝る前にトイレに行きましたか?」
「…っ、いってない…」
「ちゃんと行きなさいって言ってるよね?これだって、おねしょしないために大事なことだよ?」
「うんっ…」
88人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いちとま - みつあめさん» もう何周も読まさせて頂いています!これからも過去の作品たちを読み返しながらゆっくり待っていますね(*ˊ▿ˋ*) (2022年11月27日 13時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - いちとまさん» う、嬉しすぎます😭❤︎ありがとうございます!これからも面白いと思ってもらえる作品を残せるように頑張ります✨ (2022年11月22日 23時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
いちとま - みつあめさん» 書き方って、中々納得いくものに出会えないですよね!別の方のこのジャンルのお話を読んでも何処か物足りなさを感じて、結局みつあめ様の作品を読み返しているんですよね😂それ程に面白いと思っています!ご多忙だとは思いますが、いつまでも次の更新を待っています! (2022年11月22日 2時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - いちとまさん» お久しぶりです!コメントありがとうございます✨作品を作る上で書き方は日々迷走して苦しんでいる部分でもあるので、褒めていただけてとても嬉しいです!これからもマイペースな更新になるかと思いますが、よろしくお願いします🙇♀️ (2022年11月20日 21時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
いちとま - 久しぶりにコメ失礼致します!僕はこのジャンルを取り扱われている方の作者様の中でもみつあめ様の書き方が1番好みなんですよね!なので、サイトの方も此方も更新すごく楽しみにしています!みつあめ様のペースで頑張って下さい(^-^) (2022年11月19日 21時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みつあめ | 作成日時:2022年8月3日 0時