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問題が山積みすぎて、ぽろぽろと涙がこぼれる。自分の力ではどうしようもなくて、慧は途方に暮れるしかなかった。
「…慧?」
「!ぁ…ぱぱ…」
「大丈夫!?そんなに痛いの?やっぱり病院行こうか?」
「あ、うぅ…」
湯たんぽを作って持ってきた光が、泣いている慧に駆け寄る。
慧は力無く首を振ることしかできない。もう布団もパジャマも隠せないほど光が近くに来てしまった。案の定、数秒後には、濡れた布団を見つけた光が「え…?」と呟いていた。
「…どうしたの、これ」
「…っ、ぅ、うあぁああんっ…ごめんなさい!おねしょ、しちゃったのぉっ…!」
「え、じゃあお腹は?痛くないの?」
「うんっ…」
「…なぁんだ、よかった…」
光は体の力が抜けた。どんな悪い病気かと本気で心配したのだ。
「もう、お腹痛くて泣いてると思ったからびっくりしたよ。大きい病気なんじゃないかって…」
「ふぇぇ、だってぇぇ…!」
「恥ずかしくないよ、大丈夫だから。…もう、パパに言ってくれたらいいのに」
「だって…!だって…!」
「うんうん、慧は嫌だったもんね。照れ屋さんだからなぁ慧は。でも恥ずかしがらなくていいの、みんなあることだから」
「うぇぇぇんっ…」
泣き止まない慧に、光は困ったなぁと眉を下げる。
慧にとって恥ずかしいことでも、光は変わらずに接してあげたかった。
「よし!布団はパパに任せなさいっ。慧、お風呂あっため直すから入ってきな?ひとりで入れる?パパと一緒がいい?」
「んくっ…ひとり、で、だいじょぶぅ…」
「大丈夫ね?よし、じゃあお風呂まで一緒行こ」
泣き続ける慧の頭をぽんぽんとして、光は微笑んだ。
とにかく、慧が泣いているのが体調のせいではなくてよかった。
おねしょで泣いちゃったのか…とまだまだ成長途中の息子を可愛く思うと同時に、嘘はダメだよなぁと思い直す。
慧としては、おねしょを知られたくなくて必死についた嘘だったのだろう。わかっているが…とても心配して肝が冷えたのは事実だった。
慧には事あるごとに『嘘はきらいだからね』と伝えている。いたずらや危険なことをした慧のお尻を叩いておしおきすることもあるが、嘘をついた時は一段と厳しくするようにしている。
慧が泣くほど追い詰められてついた嘘だというのもわかってやりたいが、嘘は嘘だよなぁと、叱らなければいけないことに少し心を痛めた。
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いちとま - みつあめさん» もう何周も読まさせて頂いています!これからも過去の作品たちを読み返しながらゆっくり待っていますね(*ˊ▿ˋ*) (2022年11月27日 13時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - いちとまさん» う、嬉しすぎます😭❤︎ありがとうございます!これからも面白いと思ってもらえる作品を残せるように頑張ります✨ (2022年11月22日 23時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
いちとま - みつあめさん» 書き方って、中々納得いくものに出会えないですよね!別の方のこのジャンルのお話を読んでも何処か物足りなさを感じて、結局みつあめ様の作品を読み返しているんですよね😂それ程に面白いと思っています!ご多忙だとは思いますが、いつまでも次の更新を待っています! (2022年11月22日 2時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - いちとまさん» お久しぶりです!コメントありがとうございます✨作品を作る上で書き方は日々迷走して苦しんでいる部分でもあるので、褒めていただけてとても嬉しいです!これからもマイペースな更新になるかと思いますが、よろしくお願いします🙇♀️ (2022年11月20日 21時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
いちとま - 久しぶりにコメ失礼致します!僕はこのジャンルを取り扱われている方の作者様の中でもみつあめ様の書き方が1番好みなんですよね!なので、サイトの方も此方も更新すごく楽しみにしています!みつあめ様のペースで頑張って下さい(^-^) (2022年11月19日 21時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みつあめ | 作成日時:2022年8月3日 0時