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「えっと……三波A、です、」


よろしくお願いします、と会釈すれば目の前の彼も慌てたように会釈する。


「あ、天宮翔太です、こちらこそよろしくお願いします」




今から一年前、こんな会話で始まった(存在も忘れていた)許婚との同居生活は、双方にいつまでも恋人ができないからとセッティングされたものらしい。

彼は表舞台に立つ仕事だからこういうのはあまり良くないはずなのに、その意見は無視されて話は進んだそう。


そんな彼__天宮さんに意中の人物がいたと知るのは、同居生活を始めて1年経った今。

それも報連相を怠った故に起きた、彼の意中の彼女との遭遇事故。おまけに家でだ。


「えっと……? つっきぃ彼女おったん?!」


あ、ごめんなさい、と口を手で塞いだ女性は小柄で髪を金に染めていて、仕草も含めてとても可愛らしい人だった。

彼は彼女に私がいることを言ってない。ということは、だ。
この1年間、一人暮らしと偽っていたのだろう。






これは事故だ。きっと、そう。







仲睦まじげに話す2人を見て、胸の奥が苦しいなんて、嘘だ。

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作者名:彗華 | 作成日時:2019年12月19日 11時

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