その2 ページ15
*
「もしもし?」
「あ、遥輝?わりぃ、俺行けないっていうか行かないわ」
はぁ?と思わず口からでてしまう。
いや、卓さんが誘ったんやろ...。
「行かないって.....なんでですか?」
「遥輝のためと思って」
「は?どういうことっすか?」
「あれやろ?遥輝的にも俺がいない方が良いでしょ。成瀬ちゃんと二人きりになれるし」
そういうことか...。
確かに成瀬ちゃんとご飯でも、とか思っていた時もあったけど。
「でも、これ成瀬ちゃんに言ったらガチで怒られますよ?」
成瀬ちゃんに聞こえないように、小さな声で言う。
「適当に嘘ついとけって」
電話の奥で卓さんがケラケラと笑うのがわかる。
この人確実に楽しんでるやろ。
もう一度成瀬ちゃんの顔を確認してみると、
とにかく無表情でジーっと俺を見つめている。
え?もうバレとるん?
「じゃ、頑張れよ」
え、ちょっと、と言っている途中に電話は切られ、無機質な電子音だけが聞こえてきた。
・
「あのー、.....成瀬ちゃん?」
「はい?」
ニコニコと、本当に怖いくらいニコニコと笑顔を浮かべる成瀬ちゃん。
なるべく刺激しないように、怒らせないように慎重になる俺。
(もう怒らせてるかもしんないけど、)
「........卓さん、なんか急用入って来れないそうです」
俺がそう言うと、成瀬ちゃんはあからさまに顔をしかめ、大きくため息をついた。
「そんなことだろうと思ってましたよ...」
バレバレっすよ、卓さん。
今ごろホテルでゆっくりしてるであろう卓さんに呼びかける。
「まぁ、もう肉焼いちゃったし。せっかくだから食っていこうや」
こうなったらもう卓さんの恩に甘えよう。
な?と聞いてみると、渋々と言った表情で頷いてくれた。
前までだったら即答で首を降っていたのだろうけど、
少しずつ柔らかくなってきてるな。
これだけのことで嬉しくなってる俺はかなり単純だ。
「ちょっと、なにニヤニヤしてるんですか?」
「いや、ニヤニヤやなくてニコニコ」
「はぁ?まぁいいや。......私結構お酒強いですからね」
そう言って成瀬ちゃんはジョッキをグッと飲み干し、ダンッと力強く置いた。
夜はまだ始まったばかり。
明日は試合なし。
卓さんによるせっかくのチャンス。
楽しもうではないか。
自然と上がる口角を抑えることは出来ない。
*
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梓(プロフ) - みやさん» 死ぬほど行きたかったんですけど、用事があって行けないんですー!スカパーにも入ってないので、色々と諦め気味です(笑) (2017年11月23日 20時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 了解です!ファンフェス近いですねー!梓さんは見に行かれますか? ちなみに私はGYAORAで見ます(笑) (2017年11月23日 17時) (携帯から) (レス) id: 91f229b3cf (このIDを非表示/違反報告)
梓(プロフ) - みやさん» 選手の名前言っちゃうと住んでるとこ特定されちゃうんで言えないです(笑)他県に住んでいるんですか?北海道寒いけど良いとこなんでぜひ来てみてください!ついでに、札幌ドームで野球見ていってください!(笑) (2017年11月23日 16時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 誰とあったんですか〜?(笑) 羨ましい! 北海道にいきたい(笑) (2017年11月23日 13時) (携帯から) (レス) id: 91f229b3cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梓 | 作成日時:2017年10月30日 22時