F#51 告白大作戦

#36 ページ37

*



飛行機のシートに体を預ける。
人よりデカイ俺の体には少々狭いけれど、
これはまぁ、しょうがないのだろう。




イヤホンをつけて、周りのざわめきをかき消す。



自分の好きな音楽を流してるはずなのに、全くそれは耳に入ってこない。




『自分の気持ちには素直になった方がいいぞ』


そんな中島さんの言葉と、西川さんの真剣な、どこか苛ついたような顔がぐるぐると漂う。

あの時はあえて分からないふりをしたけれど、今はその意味が十分に分かる。いや、分かっていて当然だ。



今までは理解できなかった、色々な気持ち、俺の言動。


Aさんの手を取ったこと。
Aさんのことをもっと知りたいと思ったこと。




Aさんと一緒に居たいと思ったこと。





好きなんだ、俺は。

紛れもなく、Aさんのことが。




(早く...早く伝えよう)



そんな決意と共に目を固く瞑った。





・


・



　

鎌ヶ谷に来てから、1週間が経った。
早く札幌に戻りたいのだが、やはりプロの世界は厳しいわけであって。



あれから、Aさんに連絡をとりたくて、

電話をしてみたのだが、一回も出ることはなく.....。というか無視。

LINEを送ってみても、返信が来ることはなく。そもそも既読も付かず。



「なんでだよ.....」

呟かずにはいられなかった。



これは、ちゃんと会って伝えなくてはいけないわけなのか。

いや、どちらにせよしっかり本人に会わなきゃだめだ。





それにはまず、ここで結果を残すことから始めなくてはならないのだが。
*

#37→←#35

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す