F#51 告白大作戦

#37 ページ38

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石川さんがファームに行ってから約3週間。

宮下さんとか西川さんとか中島さんとか、
最初はいろんな方が、どうした？なんて心配してくれていたけれど、今は大分落ち着いてきたわけであって。



少しずつ忘れていこう.....。


カメラを首に下げて、そんなことを考えながら一人廊下を歩く。





なのに、



「Aさんっ、」



どうして神様はこんなに意地悪なんだろうか。



振り返る必要なんてない。だって、この声の持ち主は石川さん以外あり得ないんだから。



(そうだっ、今日からこっちに帰ってきてるんだった)





石川さんと顔を向けることなく、とにかくダッシュ。
今まで散々電話を無視したあげく、LINEさえも返信しなかったのだから、合わせる顔がないのだ。


ちょっ、Aさん！と石川さんの戸惑った声が聞こえたけれど、そんなこと気にする暇はない。

　

とにかく全力で走る。




パッと後ろを見てみると...、

そこには、こちらに向かって走る石川さん。
ヒイッ！と思わず悲鳴が上がってしまう。


どんどんと縮まる距離に、何を思ったのか...。
何故か私は近くの部屋の扉を開け、そこに入った。



当然石川さんも入ってきて、

ジリジリと後ろに下がっていく。
トンッと背中に軽い衝撃を感じ、壁に付いたと気づく。



(どうしよう、もう逃げられない)




目の前には石川さん。その距離僅か数十センチ。





「・・・なんで逃げるんですか？」

「逃げてないです」


私がそう言えば石川さんは困ったように笑う。



「すみません.....この前のことですよね？もう、本当に気にしなくていいんで。...というか忘れてください」

「俺はまだ答えてないです」

「え？」

「...好きです」



好きです？
どういうこと？それは誰に対して言っているの？



「えと、誰が...ですか？」

「Aさん以外誰がいるんですか」




さぁ、これは一体どういう意味なのでしょうか。
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