#16 ページ17
*
手の温もりを感じたまま、夜の住宅街をてくてくと歩く。
柊さんはまだどことなくふらついていて、話す話題も特になかったので、とにかく無言。
でも、不思議とその沈黙は嫌ではなかった。
「あの、いしかわさん」
その静けさを破ったのは柊さんの方だった。
「はい？」
柊さんは前を向いていて、周りが暗いせいもあったので表情はよくわからない。
あの・・・、と一息おき、こちらを見上げてくる。
その目はどこまでも澄んでいた。けれども、その奥の意思までは見えてこなくて。
「私と石川さんの関係ってなんですか？」
関係、
確かに俺と柊さんの関係は何なんだろうか。
もちろん恋人ではないし、友達...というわけでもない。だからと言って他人でもないし。
「私、石川さんとお友達になりたいです、」
柊さんはさらに言葉を紡ぎだす。
何も答えない俺を見て、柊さんは繋いでいた手の力を抜いていく。
「いいですよ、友達。俺も同じこと思ってました。」
俺は手を強く握り直し、そう答えた。
そう、きっとそう思っていたからだ。
連絡先を交換したのも、この飲み会に来てほしいと思ったのも、柊さんの手をとったのも。
「本当ですか!?」
柊さんの目はキラキラとしている。
「もう一つ、お願いがあるんですけど!」
いいですか？と柊さんは立ち止まる。
「なんですか？」
俺も足を止め、柊さんと目を合わせる。
柊さんはすぅーっと息を吸って、
「Aって呼んでください。」
え？とすっとぼけな声しか出せない俺。
柊さんは、駄目ですか？とその澄んだ目で俺を見上げる。
駄目なわけではないが、もちろん俺には羞恥心というものがあって。
それでも柊さんは、期待を込めた俺を見てきているから、
「A・・・さん、」
呼ばずにはいられなかった。さすがに呼び捨てというわけにはいかなくて、さん付けをしてしまったのだが。
「もう一回。もう一回、お願いします。」
「Aさん、」
俺がそう言うと柊...Aさんは、ぱあーっと、本当にそんな効果音がつきそうなくらい表情を明るくして、
「ありがとうございます!」
ガバッと深く礼をし、
「じゃあ私の家、すぐそこなんで!」
送ってくれてありがとうございました!と言い走っていってしまった。
一方の俺は、この数分間の出来事について整理することでいっぱいいっぱい。
ただ立ち尽くすことしかできなかった。
*
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梓(プロフ) - 如月明日香さん» ありがとうございますー！如月さんのコメントはどれも嬉しいものばかりですよ(_ _)ちょくのことが好きになってくれたのなら嬉しいです(笑)最後まで読んでくださりありがとうございました！ (2017年12月5日 17時) (
レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
梓(プロフ) - 雛*さん» ありがとうございます！そう言ってもらえると凄く嬉しいです(^^;番外編の方もよろしくお願いします！ (2017年12月5日 17時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
如月明日香(プロフ) - 完結〜〜！おめでとうございます！ このお話で私は石川選手が好きになり、なんと実際に石川選手のタオルも買ったんです〜〜！ それくらい、引き込まれる作品で、石川選手の魅力が詰まったお話でしたっ！ 本当にこのお話大好きです！！ 本当におめでとうございます！ (2017年12月5日 0時) (レス) id: eed9e6c20a (このIDを非表示/違反報告)
雛*(プロフ) - はぁ……完結お疲れ様でした(；；) 終始ニヤニヤしっぱなしでした……´`* 素敵なお話をありがとうございました〜〜！！ 番外編も楽しみにしてます◎ (2017年12月5日 0時) (レス) id: cd2200b77f (このIDを非表示/違反報告)
雛*(プロフ) - わ、わ、わ…！ ほんとですか(；；) ふ、ファンだなんて恐れ多いです；；ありがとうございます´`* ちょくくんファンなので、ちょくくんの作品があるのが嬉しくて…！*ﾟ これからも楽しみにしてますね〜◎ (2017年12月1日 14時) (レス) id: cd2200b77f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梓 | 作成日時：2017年10月14日 17時
