文豪から愛しい貴女へ III

振り向いて <澁澤龍彦> ページ6

華宮さんリクエスト

*･゜ﾟ･*:.｡..｡.:*･'･*:.｡. .｡.:*･゜ﾟ･*

「……A、私は今どう思ってるか判るか？」

後ろから優しく抱きしめられて戸惑いながら

「えっと……お腹が空いた？」

そう言うと澁澤さんは私の肩に頭を置き

「はあ……」

と呟いた

「く、くすぐったい……です」

長くて少しふわっとした髪が首筋を擽る

「君は油断しすぎだ。私以外の男にもこうやって背中を見せるのか？」

「うーん、信頼してる人しか部屋に入れませんよ」

そう言えば澁澤さんは少しだけ顔を上げる

「そう言う意味ではない、例えば私が太宰君だったらどうするんだ」

「どうもしませんけど……」

そう言えば澁澤さんは私の肩に歯を立てる

「こうやって噛まれて、押し倒されたらどうする」

そう言われて意味が分かり、振り払うようにしても澁澤さんは笑っている

「判ったか？これに懲りたら少しは警戒する事だな」

「はい……ごめんなさい」

そう言えば澁澤さんはじっと私見てから目を逸らして

「はあ……全く」

とため息をついて

「そんな目も、あまりしないでくれるかい」

と言った

……そんな目って、どんな目だろうか







*･゜ﾟ･*:.｡..｡.:*･'･*:.｡. .｡.:*･゜ﾟ･*

澁「リクエストありがとう。私が相手でよかったな。だが、あんな涙目で見られたら私も少し危なかった」

溜め込み注意 <中原中也>→←天秤にかけましょう <ゴンチャロフ>

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す