【川西賢志郎】キレイな心。 (ページ2)

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いつもと違う電車ページ2

「まもなくJRが参ります。黄色の先より内側に...」

駅のアナウンスが夜の静かな街に響き渡る。

いつもは２つ前の駅から乗り５駅程で家の目の前に着く。

２０分もかからないくらい。

だが今日は違う。いつもより駅まで歩き、そこから１０駅ほどこの周辺を回って

遠回りをして帰る。

いつもの倍くらい時間はかかるが、途中で見える夜景と反射する海が見えるのがこの電車に乗る理由。

ピピーッ...

電車が到着してゆっくりと電車の中に入った。

ゆっくりとするはずだったのにかなりの満員で座ることもできなかった。

こうもなると、今日はほんまについてない日やなと改めて思う。

ガタガタと音を出し進みだした電車。

こんなことならいつもの電車の方がゆっくりできたかな。

そんなことを思っているとすぐ後ろから甘い香りがした。

柑橘系というよりもキレイな花のようなすごく落ち着く匂い。

ふとその匂いに誘われたように振り返ると。

そこにはキレイな黒色で艶のある長い髪をした女性が立っていた。

角度からして顔をハッキリと見ることはできなかったが

透けるような肌の色の白さとキレイな長い上に向いたまつげが見えた。

鼻筋もキレイに通っている。

しっかりと見なくても一瞬でわかるほど、キレイな人だ。

儚いような切ないような。けれどそれでもキレイであり続けているような

不思議な魅力の彼女を完全に意識してしまう。

このよくわからない気持ちや目を離せなかった。

自分でも理解できない気持ちを抱いていると

「まもなく... 駅。」

次の駅の合図のアナウンスだ。

すると彼女は少し身動きを取り出した。

もしかして次の駅で降りるんか？

俺は、その予想が当たっていないことを強く願っていた。

プスッ...

ドアが開いた。

すると

「 ... ッ」