毒りんご (ページ4)

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偶然？ページ4

あれから、一ヶ月が過ぎ去った。

街で彼に会うことも無く、いつも通りの生活を送っている。

変わったことと言えば、行為を済ませると必ず家まで送り返される。

まぁ、状況説明はここまでにしないと。これ以上遅くなると勝利が怒るからね。

ざわざわしている教室を出て、立入禁止と書かれたコーンを無視して

屋上への階段を上る。フェンスにもたれて座ってる彼の隣に腰を下ろす。

「はい」

購買の弁当を渡される。割り箸を割っておかずに手をつける。

弁当箱が空になったところで携帯が鳴る。コールボタンを押して携帯を耳に当てる。

「もしもし」

「あっ、美咲？」

「うん。どうしたの？」

「9時。待ってる」

「了解」

電話を切って初めて勝利が心配そうな顔をしていることに気がついた。

「いつまで続けるの？」

勝利は私がしていることを知っている。と言うか、幼なじみなんだよな。

「さぁ？」

勝利が心配してくれてると言うのにあえて冷たく突き放す私は最低なんだろうな。

「やめなよ。聡さんが今の美咲を見たら悲しむよ」

「そうだね。」

お互い何も喋らないまま沈黙が流れる。気まずさとかは私には全く無い。

きっとそういうのは、悲しみと一緒に捨ててしまったんだろう。

「そういえば、この後講習会だって」

沈黙を打ち切るように勝利が別の話題をふってくる。

「何の？」

「何だったけ。ゴメン。よく覚えてー」

最後の方の言葉は昼休みの終わりを告げるチャイムに掻き消された。

階段を下りると生徒が体育館に吸い込まれていく。

見とれてるとポケットから音楽が流れて来る。

「先に行って」

勝利に背を向けて再び屋上に戻る。携帯を耳に当てる。

「どうしたの？」

「ん～。暇になったから学校サボるわ。どっか遊びに行かない？」

「分かった。学校の前まで来て」

「ん」

電話を切って、電話帳を開いてさっきとは違うところにかける。

「もしもし、勝利、ちょっとお願いがある」

「何？」

「ちょっと呼ばれた。先生の対応お願い」

勝利は生徒会会長をやっている。幼なじみだとこういうときは助かる。

靴を履き替えようと昇降口に行くと、ラフな格好をした彼がいる。

「久しぶり」

「何でここに？」

「講習会」

あっ、、今日の講習会って警察のやつか。

「講習会参加しないの？」

「生徒会会長に用事頼まれてて」

「そっか、頑張ってね」