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「こっちだよ」




二人は与謝野と合流し、建物の陰に隠れる。ちらりと見ると、尾崎とAが何か話している。距離があるため、聞こえない。仲のいい二人だが、何故かムードが険悪だ。




「さっき、黒服の男が二人に近づいてね。何かを言った途端、あの子の顔が変わったんだよ」




Aは今にも泣き出しそうだ。すると尾崎の後ろにゆらりと何かが現れる。尾崎の異能、『金色夜叉』だ。それは、仕込み刀を持った夜叉を操る異能である。




「________すまんのう…」




敦には聞こえた。尾崎の声が。この謝罪が。足が虎化し、地面を蹴る。




「姉さん!!」

「あつ、し…?」

「!」




敦はAを抱き上げ、壁を蹴って太宰達の所へ戻る。肩が斬られているが、虎の再生能力で完治。




「Aを返すのじゃ!」

「姉さんを斬ろうとしたお前に返すわけがないだろ!!」

「敦…」




敦の腕の中で、Aは不安そうに敦を呼ぶ。その目は潤っており、唇は微かに震えている。敦は微笑み、ぎゅっと抱きしめる。




「姉さんと、話がしたいんだ…。だから、僕についてきてほしい。もちろん、そのまま一緒にいてほしい……」

「でも…」

「姉さんは何も悪くない。……今は話せない。安全な場所に行かないと、話せない…」




敦の真剣な目にAは魅入られるが、尾崎の方を振り返る。どうすればいいのか、分からないのだ。




「Aを探偵社(そっち)には行かさぬぞ!」




尾崎は携帯を取り出し、何かを呟く。すると、数えもしないうちに、黒服の男達が現れる。まるで、指示を待っていたというように。




「こりゃあ、厄介だね…」

「逃げるよ!」




敦達が背を向けた途端、銃声が響く。何発もの弾が、彼らを襲う。敦に抱かれたAが、首をひねり、尾崎に顔を向ける。








_____やめて_____








「!やめよ!」




Aの目が、そう語ってきたような気がしたから。四人は車に乗り込む。恐らく、探偵社のだ。尾崎は爪が食い込む勢いで拳を握る。




「申し訳ありません、紅葉様…」

「…構わぬ。戻るぞ」




尾崎はつらそうな顔をした。そして、黒服の男達と共に、その場を去った。

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arena(プロフ) - あかりさん» 無言参加失礼しました…。読んでいただいて光栄です!ありがとうございます! (2018年1月29日 7時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - イベント参加ありがとうございます! すごい面白いです これからも頑張って下さい! (2018年1月29日 2時) (レス) id: 59dc504c48 (このIDを非表示/違反報告)
arena(プロフ) - ちゅうや大好きさん» ありがとうございます! (2018年1月28日 13時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅうや大好き - すごく面白いです (2018年1月28日 12時) (レス) id: 2184bb70c3 (このIDを非表示/違反報告)
arena(プロフ) - 瑠李さん» ありがとうございます。自分の作品の内容を忘れてしまう馬鹿ですが頑張ります!笑 (2018年1月22日 0時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:arena | 作成日時:2018年1月11日 21時

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