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「ガァァァァ!…っ!!」
虎の姿になる…直前、変身は止まった。しかし、Aの右腕は虎のまま。敦とは違い、主な色は黒。ラインの色は白だ。
「何っ…これ…!?」
「A!…!その姿は…どうしたのじゃ!」
「紅葉、さんっ…近づか、ないで、下さっ…!」
その瞬間、Aは尾崎に襲いかかる。鋭い爪が尾崎を切り裂く…直前、それを夜叉が止めた。尾崎の異能、『金色夜叉』だ。
「すみ、ませ…!体が、勝手に…!」
「中也を呼べ!」
「「は、はっ!」」
尾崎は近くにいた黒服の部下に指示を出す。尾崎は思った。自分の異能では、Aを傷つけてしまう。中也ならば、多少怪我をするものの、気絶させることは出来ると。
「A」
「来るな!!」
「っ…」
尾崎が一歩近づけば、Aも下がる。腕は痙攣している。尾崎を殺そうとしているのだ。まるで、腕だけは別の生き物のようだ。
「どうして急にそうなったのじゃ…」
「分かりません…。ただ、思ってしまったんです…。敦に殺される前に、先に、自分の手で、って…」
「姐さん!A!…手前…その腕…」
「お願い、します…近寄ら、ないで…!」
「しっかりしろ!!」
中也が駆け寄り手を伸ばした。瞬間、虎の爪が中也の首を掠る。Aの表情はつらそうだ。しかし、動きが全く違う。
「っ、A…。許せ!重力操作!」
「がっ!?」
Aは床に膝をつく。中也の重力操作である。その間に中也はAの背後に回り、首元を思いっきり殴った。小さなうめき声と共に、Aはばたりと倒れる。腕は元に戻っていた。
「A!」
「姐さん…Aは俺が見ます。しばらく目は覚まさないと思いますが…念の為」
「頼むぞ、中也」
「はい」
Aを抱き上げ、自室へと向かう。出る時に尾崎から話を聞いた。Aは一瞬、自分の手で敦を殺すと言った。それに、眠っていた異能が目覚めたのだろうと。廊下を歩きながら考える。
「さすがは双子だな。虎の異能は同じか。が、制御する力はAの方が上、か…」
部屋に着き、そっとAをベッドに寝かす。外れかけた包帯が目につき、なんとなく見る。よく見ると、傷が消えていた。
「虎の再生能力…。…明日、首領に報告するしかねぇか…」
中也は仕事が残っているため、極力部屋を暗くし、椅子に座る。山積みになっている資料に手を伸ばし、目を通し始めた。
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arena(プロフ) - あかりさん» 無言参加失礼しました…。読んでいただいて光栄です!ありがとうございます! (2018年1月29日 7時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - イベント参加ありがとうございます! すごい面白いです これからも頑張って下さい! (2018年1月29日 2時) (レス) id: 59dc504c48 (このIDを非表示/違反報告)
arena(プロフ) - ちゅうや大好きさん» ありがとうございます! (2018年1月28日 13時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅうや大好き - すごく面白いです (2018年1月28日 12時) (レス) id: 2184bb70c3 (このIDを非表示/違反報告)
arena(プロフ) - 瑠李さん» ありがとうございます。自分の作品の内容を忘れてしまう馬鹿ですが頑張ります!笑 (2018年1月22日 0時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:arena | 作成日時:2018年1月11日 21時