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「なるほど…」




A達は、森に報告をしている最中だ。芥川は他の仕事が入ったため、今ここにはいない。中也は立っており、Aは座っていて、エリスはAの隣で不安そうにしている。




「A、大丈夫?」

「だ、大丈夫です。思ったより疲れちゃって…」

「無理もない。君はまだ完全な体力じゃない。送り出した私が言うのも何だが、やはり、行くべきではなかったね」




Aは下を向き、服をぎゅっと握る。色々な感情が混ざり、自分自身もよくわからない状態だ。沈黙が続くが、それを破ったのは扉が開いた音だ。




「紅葉姐さん…」

「A…!」




尾崎はAに駆け寄り、ぎゅっと抱きしめる。Aも抱きしめ、体が小刻みに震え始め、鼻をすする音もしている。泣いているのだ。




「鴎外殿。Aは私が預かるぞ」

「…頼んだよ」




尾崎はAの肩を支えながら部屋を出ていった。




「首領…Aを利用する以外の方法はないのでしょうか。俺はアイツのあんなつらそうな顔を見たくは…」

「中也君。情けは無用だ」

「ですが…」

(首領)の命令は絶対だ。聞かなかった場合、(幹部)でも私は切り捨てる」




森の目に、中也は黙る。こう言われては、何も言えないからだ。その場に居づらくなり、頭を下げて早足で部屋を出た。










あれから数時間。空はもう真っ暗になり、月がぼんやりと光っている。Aは眠れず、ベッドに腰掛けていた。





「…敦…」




本当に怖かった。あの虎の爪…もう一度引っかかれてしまえば、確実に死ぬ。その恐怖が、Aの心の隅々まで埋め尽くしていた。




「どうして…。私は、貴方に何を…?こんな傷を負わされるほどのことを、私は、貴方、にっ…!?」




再び涙が零れ、Aは強く目を擦る。さっきも擦ったため、瞼がひりひりした。が、気にせず擦る。




「…今夜は綺麗な夜空…。月が、綺麗だなぁ…」




ベッドから立ち上がり、窓越しに月を見上げる。満月だ。雲は全く掛かっておらず、とても美しく輝いている。




『僕は貴様の代わりに人虎を殺そうとしているのだ。なぜ止める。今、彼奴を殺さなければ、貴様が死ぬ』




芥川の言葉をふと思い出す。殺さなければ、死ぬ。




「もし、本当にそうなら…自分で…」





心臓が強く波打つ。体が熱い。Aはうめき声をあげる。しかしそれはすぐに叫びとなった。





「ガァァァァ!!!」





虎の、叫びに。

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arena(プロフ) - あかりさん» 無言参加失礼しました…。読んでいただいて光栄です!ありがとうございます! (2018年1月29日 7時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - イベント参加ありがとうございます! すごい面白いです これからも頑張って下さい! (2018年1月29日 2時) (レス) id: 59dc504c48 (このIDを非表示/違反報告)
arena(プロフ) - ちゅうや大好きさん» ありがとうございます! (2018年1月28日 13時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅうや大好き - すごく面白いです (2018年1月28日 12時) (レス) id: 2184bb70c3 (このIDを非表示/違反報告)
arena(プロフ) - 瑠李さん» ありがとうございます。自分の作品の内容を忘れてしまう馬鹿ですが頑張ります!笑 (2018年1月22日 0時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:arena | 作成日時:2018年1月11日 21時

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