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しばらく歩くと、大きな病院に着く。敦は中へ入り、ある病室へと向かう。
その間、太宰と敦に会話はなかった。
「…失礼します」
開けると、そこには少女の姿が。敦とは鏡合わせをしたように、髪型が同じで、外に出ていないからか、肌は異常に白く、細い。
「彼女が、君のお姉さんだね?」
「はい」
「…いつから」
昏睡状態なの?その言葉は、太宰の口から出なかった。敦の姉、Aは、たくさんの機械に繋がれて眠っている。
それは、どう見ても今だけ眠っているようには見えない。ずっと前から眠っているように見える。
「入院してから、ずっとです。姉さんは……A姉さんは、僕のせいで、こんなことにっ…!」
「説明してくれるかい?」
「…僕が院で虎化して暴れた時に、爪で引っ掻いたんです。なんとか助かったんですが…。正直、最近まで、僕のせいだとは分かりませんでした…」
敦は涙目で話す。敦自身が虎になるとわかったのは、最近のこと。それまでは、どうしてAがこうなったのか、わからなかった。
「傷が、これです」
「……!」
敦は、Aの服を少し下げる。白い肌に、大きな爪痕が三本、刻まれている。
「最近になって、やっと包帯が取れたんです。先生は、傷の深さと出血量、そして、ショックのせいで、昏睡状態になってしまったと…」
「…目が覚める可能性は?」
「極めて低いそうです。でも、僕はまた目覚めてくれると信じています。ちゃんと、謝りたい。許されなくても、ちゃんと…!」
敦はAの手をぎゅっと掴む。太宰は、ただ見ていることしか出来なかった。
「…敦君、一度戻ろう」
「…そうです、ね。国木田さんに怒られちゃいますね…」
二人が病室を出た後、ピクリとAの手が動いたが、それは、誰にも気づかれなかった
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arena(プロフ) - あかりさん» 無言参加失礼しました…。読んでいただいて光栄です!ありがとうございます! (2018年1月29日 7時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - イベント参加ありがとうございます! すごい面白いです これからも頑張って下さい! (2018年1月29日 2時) (レス) id: 59dc504c48 (このIDを非表示/違反報告)
arena(プロフ) - ちゅうや大好きさん» ありがとうございます! (2018年1月28日 13時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅうや大好き - すごく面白いです (2018年1月28日 12時) (レス) id: 2184bb70c3 (このIDを非表示/違反報告)
arena(プロフ) - 瑠李さん» ありがとうございます。自分の作品の内容を忘れてしまう馬鹿ですが頑張ります!笑 (2018年1月22日 0時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:arena | 作成日時:2018年1月11日 21時