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中也とAは紅葉と合流し、部屋へと向かっていた。あまり目立つと良くないという紅葉の発言があったため、Aは頭から中也の外套を被っている。
無論、Aがなぜ目立つよくないのか、本人はわからないが。
「おい、大丈夫か?」
「え?」
「え?じゃねェよ。さっきから黙ってるから気になったんだろうが。冷たくなってねえから放っておいたけどよ」
言い方にムッとするが、気にしてくれたのかと、内心嬉しく思う。隣で尾崎がくすくすと笑う。
「すまんのう。美少女を抱えてるせいか、普段より冷たいのじゃ。照れているからかのう?」
「あ、姐さん!?そんなわけないじゃないですか!おい!自惚れんなよ!」
「自惚れてません!そもそも私は何も言ってないじゃないですか!痛っ…!」
怪我を忘れ怒鳴ると、鈍痛が走る。顔を顰めると、中也はため息をつく。
「痛いなら大人しくしとけ」
「私のせいじゃないんだけど…」
聞こえないよう小さく呟き、大人しくしておく。なんとなく、少しだけ上を向いて中也の顔を見る。
「(意外と綺麗な顔。髪も見た感じサラサラ…。同じくらいの身長で細いけど、すごく筋肉質。何の仕事をしてるのかな…)」
「おい」
「え!?あ、はい!」
「何で気合入れて返事してるんだよ…。着いたぞ。ここが手前の部屋だ」
Aの想像をはるかに超えた広さ。ベッドや棚、デスクなど、一通りの家具が置いてある。中也はそっとAをベッドに寝かせた。
「今日一日は寝てろ。掃除はしてあるから、埃臭くねえだろ」
「……あの…運んでくれて、ありがとうございました。えっと……中也さん」
「っ!頼まれたからしただけだ!じゃあ、俺はこれで」
「助かったぞ、中也」
中也は外套を羽織りながらそそくさと部屋を出ていく。そんな彼を見て、またも紅葉は笑うのだった。
「私の部屋は、出て右側じゃ。何かあったらいつでも来るとよいぞ」
「ありがとうございます」
紅葉も部屋を出ていき、一人になる。ふと、疑問が頭に浮かぶ。
自分は本当に何者なのか、家族入るのだろうか、今までどんな生活をしていたのか…。思い出そうとしても、やはり何もわからない。
「…また、眠くなってきた…」
横になると、布団をかぶるのも忘れ、再び眠りについた。
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主人公、寝てばっかだな…
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arena(プロフ) - あかりさん» 無言参加失礼しました…。読んでいただいて光栄です!ありがとうございます! (2018年1月29日 7時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - イベント参加ありがとうございます! すごい面白いです これからも頑張って下さい! (2018年1月29日 2時) (レス) id: 59dc504c48 (このIDを非表示/違反報告)
arena(プロフ) - ちゅうや大好きさん» ありがとうございます! (2018年1月28日 13時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅうや大好き - すごく面白いです (2018年1月28日 12時) (レス) id: 2184bb70c3 (このIDを非表示/違反報告)
arena(プロフ) - 瑠李さん» ありがとうございます。自分の作品の内容を忘れてしまう馬鹿ですが頑張ります!笑 (2018年1月22日 0時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:arena | 作成日時:2018年1月11日 21時