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訓練が終わる頃には空が少し赤みがかっていた。
一度食堂に戻ったものの、夕飯までは少し時間がありそうなのでエレンは自主練するらしい。
それにわたしたちもアドバイスがてら着いていくことになった。
わたしがたらたらと水を飲んでいる間に、3人は扉へと向かっていて急いで振り返った。
『っ？！うわ、』
するとわたしは誰かに正面衝突してしまいバランスを崩してしまった。
倒れる──！
と思い目をぎゅっと瞑ったが一向にその気配はなく、恐る恐る目を開くと
｢ったくあぶねえな…ちゃんと前見ろよ｣
『…！ジャンか……ごめん』
｢ジャンかってなんだよ！俺で悪かったな！｣
ジャンの胸に思いっきりダイブしていたらしく、肩をがっちりホールドされていた。
いつもは離れたところにある顔が、ジャンが中腰になっているせいで間近にあり動揺してしまう。
シャーディス教官に1発入れられた憲兵団志望の人、エレンと喧嘩していた、というよくない情報しかないわたしはやけに緊張していた。
『あ、ありがとう』
｢最初っからそう言えっつーの……ん？｣
そこまで言うとジャンはわたしの目をじっと見つめた。
『え、な、なに』
｢いや…お前の目、珍しい色してんな｣
ここに来て初めて目の色に触れられた。
わたしの目は長所だとエレンたちに開拓地で何度も熱弁されたけど、やっぱりまだ慣れない。
わたしが何も言えずにいると、ジャンは眉間に皺を寄せた。
｢お前Aっつったっけ？…なんつー顔してんだよ。褒めてやってんだろ｣
『…………偉そー……』
｢こんなに女を助けて後悔した日はないぜ…｣
ジャンが頭を抱えたと同時くらいに、エレンたちが駆け込んでくるのが見えた。
｢おいジャン！Aになにしやがった！｣
｢んだよお前かよ…こいつが俺にぶつかってきただけだ｣
｢お前のせいで怪我したらどうするんだよ！｣
｢だから助けてやったんだろうが！姿勢制御もまともに出来ねえ野郎は黙ってろ！｣
｢んだとてめえ！｣
｢ちょっと2人とも落ち着いてよ！！｣
また取っ組み合いが始まりそうになってアルミンが慌てて止めに入る。
わたしも止めないといけないんだろうけど、なんだか賑やかで楽しくて、ほったらかしにした。
無神経そうなジャンにも褒めてもらえた。
いい加減わたしも、あの呪いと決別しよう。
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作者名：餃子 | 作成日時：2021年5月23日 4時
