きみに花束は渡せない【進撃の巨人】 (ページ19)

今日:10 hit、昨日:11 hit、合計:12,082 hit

018 ページ19

さすがに空腹も限界で、みんな揃ってパンを齧る。

わたしの右隣にアルミンが座り、その横にミカサ、エレンと並んだ。

2人はぽつぽつと会話をしているが、わたしとアルミンは黙々と食べている。

いや、アルミンの手はさっきから止まったままだ。

『アルミン、どうしたの？』

｢あぁいや、その…さっきは急に大声で呼んだりしてごめん｣

理由はわからないけど、相当嫌なことをしてしまったんだと思う──

そう目を伏せて謝る彼を見て、率直に本当に優しい人なんだなと思った。

『ううん…わたしがおかしいんだよ。アルミンは何も悪いことしてないし、むしろ謝るのはわたしのほう…』

信じてもらえるように、わたしはアルミンの目を見つめた。

するとゆっくり視線が絡まって、彼は眉を下げた。

｢何が君を、そんなに怯えさせているのか…聞いてもいいかな｣

『…！』

驚いた。バレバレだったことにもだし

ずっともやもやと村の人に抱えていた感情は、怯えだったんだってことに。

そして彼は、｢嫌なら嫌って言ってね｣と前置きして

｢僕たちはまだ君について知らないことばかりだ。そしてそれは、君も同じだろう？｣

｢だから、これから時間をかけて沢山話をしよう。Aが思っている以上に僕たちは君と仲良くなりたいと思っているんだ｣

『アルミン…』

｢私も、あなたと話がしたい｣

｢Aを怯えさせてるやつって誰だよ！俺が全員ぶっ飛ばしてやる｣

いつの間にかエレンとミカサもわたしたちの会話を聞いていたようで、その様子を見たアルミンは

ほらねとでも言うように優しく微笑んだ。

わたしはきっと、貴方たちに出会うために生かされたのかもしれない。

『……わたしが何者でも？』

当たり前だ、と言わんばかりに3人は頷いた。

先生…わたしももう赦されていいかなあ。

『ちょっと…長くなるんだけど』

ここはさっきから人がほとんど通らない。

話すなら今だろう。

どこから話すか迷ったのち、わたしは病が流行る少し前──────兄が調査兵団に入りたいと話したところから話すことにした。