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今までずっと暗がりにいたものだから、地面に反射した陽の光にクラクラした。
『…うわっ』
何度も瞬きをして慣らしているとエレンが突然立ち止まるものだから思いっきり背中に頭突きしてしまった。
しかしエレンは黙ったまま。
『…エレン？』
するりと掴んでいた手をほどかれる。
｢なあ、A。これみんな逃げてきた人か？｣
『そうみたいだよ。全員ここに集められてる』
解放された腕は熱を帯びていた。
次の言葉を待っていると
｢おいちゃんと並べ！｣
｢うるせえ！こっちは夕べから何も食ってねえんだ！｣
なんていうやり取りが聞こえた。
少し気になってしまい、目を3分の2ほど閉じてからエレンの肩から目元だけを覗かせた。
それは思っていたより激しく取っ組み合いの喧嘩に発展している。
『……わたしたちはまだ生き残ったわけじゃないのかもね』
｢……｣
敵は巨人だけじゃない。思い知ったはずだったのに
やっぱり平和ボケしているみたいだ。
｢エレーン！Aー！｣
ああああ！！！！！
｢んお、アルミン。ミカサも｣
『アルミンお願い本当に意味わからないかもしれないけど大きな声で名前呼ばないで本当にお願い……………』
駆け寄ってきたアルミンの両肩を力任せに揺さぶる。
事前に言っておかなかったわたしの落ち度だけれど出会ったのも昨日の今日だしちょっと本当に許してほしい。
｢ま、待ってAパンが…パンが…｣
『え？パン？』
目線を落とすと、アルミンはその言葉通りパンをいくつか抱えていた。
｢おじいちゃんが子どもたちの分だからって貰っておいてくれたんだ｣
『ありがとう』
手渡されたパンからアルミンへと視線を移すと、知らないうちにその背後に立っていた憲兵団の男が舌打ちをして去っていった。
｢なんだよ、アイツ…｣
『わざわざ2人の後をつけてきたってこと…？』
思わず目で追っていると、アルミンがそれを制した。
｢仕方ないよ。この配給、たぶん人数分ないんだ…それが1日分だって。｣
｢避難民が多すぎるんだ。そんな貴重な配給を1人が5つも貰ったら疑うのは当然だよ。元々食料不足だし…｣
───外側に住んでる人ほど大事にされないのは知ってるでしょ？
それじゃあ、先生はそんな危険に見合う対価もないままシガンシナに住まわされて、安全な内地の人の元へわざわざ行ってあげていたってこと？
そんなの勝手すぎる…
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作者名：餃子 | 作成日時：2021年5月23日 4時
