赤井さん家の異能力者【名探偵コナン】【文豪ストレイドッグス】

episode68 ページ23

まずい、そう思った時には遅かった。



「手前らここで何してやがる。」



その声と同時に、太宰さんと思いっきりぶつかる。
それどころか、私が若干下敷きになる。


文字の羅列が2個重なり、全員の赤目が消える。



「誰だ！！」



と、黒の組織側の人間は全員拳銃を私、いや太宰さんと扉を開けた主に向ける。



『太宰さん！！』



その声に太宰さんは「君はやっぱり厄介事を起こすね！」と言って立ち上がる。



「A…やれるかい？」


『やります。』


「動くな！！」



私は太宰さんに向けられた2発の発砲音を庇うように立ち上がり、



『僕の孤独癖について！！！！』



と叫んだ。
突然私が叫んだことにより、動作がみんな固まる。

体を弾が貫通する感覚。
温かさと同時に襲う、激しい痛み。
そして不意に感じる既視感。
初めて撃たれたはずなのに。

いや、気にしてる場合じゃない。
血がたれる前に、記憶を消さないと。



『黒の組織と私が関わった記憶は存在しない、この倉庫には作戦会議で来た。』



私はそう声に出す。
声に出すと、自分も相手にもより強い異能力が掛けられる。
その分、副作用が大きいのだが。
今はそれでもいい。
それでも。

喉が焼けているのではないかと思うほどの痛みに、私は思わず膝を崩す。


倒れてる場合じゃない…。


ゆっくりとゆっくりと、無理やり体を起こす。
どこが痛むのかわからない。
全身がボコボコに踏み潰されているようだ。



逃げろ…逃げろ…逃げろ……。



私は溢れ出そうな血を抑えながら、倉庫から出た。




黒の組織を対象に、私に関わる記憶について改変したから、黒の組織全員に作用したはずだ。


というか、しなきゃおかしい。


何せ、私が逃げた日、中華街にいる、ただその空間にいたってだけの人にもかけたのだから。

それだけでは無い。
あの日、いろんな場所で同じように暴れた人が何人もいたらしい。
その人は皆、中華街にいた人と関わりのある人間だった。

この場に居ない、視界に入っていない、面識がない、でも異能力の対象になった人の記憶にはある、それだけでも異能力をかけることが出来る。
ただ、私が脆いだけで。




銃で撃たれた所以外も、異能力の副作用で体はひたすらに鈍器で殴られてるように痛むし、視界はぐにゃぐにゃに回るし、吐きそうだしで、壁がなければまともに歩けなかった。
しかし、逃げないと、という一心で私は歩き続ける。
血が垂れそうになるのを必死で押えながら。

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