赤井さん家の異能力者【名探偵コナン】【文豪ストレイドッグス】

episode59 ページ14

それから、ポアロが閉店する頃、私たちはゆっくりと、アパートに向かい始めた。

街はすっかり眠りにつき、酔っ払いが騒ぎ立てているのが異様にまで感じるほど、静まり返っていた。
そんな中、人が消え去ったかのようにしずかな住宅街を歩き、アパートに辿り着く。



『太宰さんに一言、言っておきたいことがあるんですけどいいですか？』


私は家の鍵を開けながら太宰さんに小声で話しかける。


「いいけれど、どうしたんだい？」

『この街で私、死ぬかもしれないです。』

「私と心中かい？」

『それも良いですね。今なら承諾します。
疲れてるので。』


扉を開け、先に太宰さんを家に通す。
重い。


『重い…全部が、重い…。』


靴を脱ぐのに立っていられなくなってしまい、座り込んで靴を脱ぐ。
そして、そのまま寝っ転がる。


『…もう、無理です。今日は話し過ぎました。』

「だから言ったじゃないか。
今日はよく喋るね、って。」

『辛い…。』


こうなると、もうどうにも出来なくなる。
そんなのは私がよくわかっていた。
重い、重すぎる。
何が重いのか分からない。


『何も出来ない私が、虚無を訴え続けてます…。
探偵社に来てやっと、役に立つ駒になれたはずなのに少し調子に乗れば、すぐこうなる…。』


「役立たずも大概にしろ…」と呟きながら、重い腕で体を引きずり起こし、立ち上がる。


『…動いた動いた。』


私は「はぁ…」と呼吸を着き、目を閉じる。
そしてパッと目を開き、


『布団、引いちゃいましょう。太宰さん。
私は寝ます。もう寝ます。
歯磨きして寝ます。お風呂はご自由にどうぞ、シャンプー私のしかないですけどね。
私は明日の朝入ります、もう無理ですどうぞ。』

「うん、君のその話し方を見ると限界なのが伝わってくるよ。」



私はその言葉を聞きながら、歯磨きを始め、布団を敷き始める。
そして、全ての工程を済ませて、太宰さんがお風呂に入ったタイミングで着替え、布団に倒れ込んだ。
比喩とかではなく、本当にバタンと倒れた。
下に人が住んでいたら心配するレベルでバタンと。



『あんだけ疲れてたのに眠れないとか疲れすぎでしょ…。』



また、ため息が出る。
今日は本当に疲れている。
吐きそうだ。

私は枕に顔を埋め、小さく唸る。

どれくらいそんな事をしていたのかわからない。
気がつけば太宰さんもお風呂を出ていたらしく、


「大丈夫かい？」


と背中を叩かれた。

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