episode56 ページ11
『明日って、何事ですか!?』
「すみません、Aさん…。こちらの手違いで、日数が押してしまって。」
と、カウンターの向こうから安室さんが言った。
『あ、そうなんですね。それなら仕方ないです。』
そう言って私は椅子に座り直す。
「お詫びに何か食べますか?」
『全然大丈夫ですよ。美味しいやつ食べられてるだけで大満足なんで。』
そう言って、私は席に座り直した。
太宰さんが珍しく不思議そうな顔をしていた。
『あ、そっか。』
そういや梓さんがいたから太宰さんに安室さんのことまだ伝えてなかったんだった。
明日っていう衝撃で忘れてた。
『安室さん、安室さん。
太宰さんにあなたがどんな人か紹介してもいいですか?』
「はい。もちろん。」
『えっと、太宰さん。この人、』
と、言ったあと太宰さんに小声で伝える。
大声で言うのは安室さんの職務上良くないだろうし。
「A、そういうことは早く言おっか。」
『すいやせん。』
しっかりと、笑顔のお叱りを受ける私に安室さんは「ははは…」と苦笑いをした。
『てっきり、太宰さんが来るなんて思ってなかったんですもん。それと、国木田さんから聞いてたと思って。
ま、今言っても言い訳にしかならないからこれ以上言わないですけど。』
と、言ったあと太宰さんは「よし、この件は国木田くんの情報伝達不足ってことにしよう!」とパン、と手を叩いた。
『まーた、国木田さんに縄でグルグルに締め上げられますよ。』
「Aさん、ガトーショコラです。どうぞ。」
『ありがとうございます。
あ、これ美味しい。』
「いや、A、まだ食べてないのに何言ってるの?」
と、安室さんが持ってきてくれたガトーショコラを見て反射的に「美味しい」って答えた私に鋭いツッコミを太宰さんにされる。
『いや、これどう見てもぜっったい美味しいやつですよ。』
いただきまーす、と頬張ると案の定、濃厚だけどしつこないチョコの味と、しとっと重たみのある生地の食感が全力で自分の美味しさを伝えた。
『美味し。何だこれ。こんなの人の手で作れるもんなんですかね。』
チョコの余韻に浸っている時、太宰さんかすごい早口で「1口貰い」とガトーショコラを一欠片、フォークで刺し、口に運んだ。
『がっっ、そ、そんな…。』
「これは美味しいね。」
『でしょうね!!美味しいですもん!』
こんな、子供っぽいやり取りの横で安室さんは「ははは」といつものように笑っていた。
971人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
from bathroom(プロフ) - ありしゅさん» コメントありがとうございます!!ウアアアアアア気がついて下さりありがとうございます…私も好きな曲で誰か気がついてくれたらな、とかしんどい人いたら救われねえかなみたいな感覚でちょびちょび入れてみたので気がついて貰えて嬉しいです…!これからも頑張ります! (2021年10月24日 7時) (レス) id: 462ac0c112 (このIDを非表示/違反報告)
ありしゅ(プロフ) - 私の好きな曲の歌詞がいきなり出てきて吃驚しました!これからも応援しています! (2021年10月17日 9時) (レス) id: a9a93c108b (このIDを非表示/違反報告)
from bathroom(プロフ) - 桜茶さん» 語彙力が酷く低い返信本当に申し訳ないです… (2020年11月14日 10時) (レス) id: 462ac0c112 (このIDを非表示/違反報告)
from bathroom(プロフ) - 桜茶さん» ありがとうございます!!(´;ω;`) それに好きだなんて言葉本当に嬉しいです…これからも応援よろしくお願いします、本当にありがとうございます…!! (2020年11月14日 10時) (レス) id: 462ac0c112 (このIDを非表示/違反報告)
桜茶(プロフ) - 合格おめでとうございます!bathroomさんの作品はどれも好きなのでこれからも楽しみにしています。 (2020年11月8日 0時) (レス) id: 72bb70d964 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:from bathroom | 作者ホームページ:http://なし
作成日時:2020年6月14日 18時