episode22 ページ26
何が原因か、何が私に幻覚を見せているのかは分かっていた。
私は頭を抱え、ソファに座ったまま蹲る。
幻覚を見ないよう、目をきつくきつく瞑る。
「Aさん！Aさん！」
哀ちゃんの声が、聞こえる気がする。
ダメだ、家に帰ろう。
無理やりにでも家に帰ろう。
私は「ごめん、具合悪いから、帰る。」と哀ちゃんに言う。
「ダメよ！座って！」
『大丈夫、大丈夫だから。』
私は無理やり立ち上がる。
哀ちゃん？に腕を引っ張られる。
今の私からは哀ちゃんは哀ちゃんに見えない。
恐怖でしか無かった。
幻覚、そう分かっていても心理面を狂わせる私の異能力において理性は意味がなかった。
『…ごめん、ほんと、離して。』
恐怖から哀ちゃんに何をしでかすかわからなくて、私は無理やり哀ちゃんに笑う。
『大丈夫だから。』
そう言って、哀ちゃんを私から離した。
「でも！涙流す程辛いんでしょ？
いいから座って！」
『…怖いから、ごめん。』
幻覚、幻覚、そう、これは幻覚。
そう言い聞かせても、悪魔のような幻覚は消えないし、私の体を冷やすような感覚も消えない。
右の腹が酷く痛み始めた。
私はまたソファに座り、蹲ってしまった。
震えが止まらなくなってきた。
ぎゅっと、目を閉じ、幻覚、幻覚、と言い聞かせる。
「博士、毛布持ってきて！」
「どうしたんじゃ？」
「Aさんが急に！」
ふぅ…ふぅ…と肩で必死に息をする。
辛い世界で、睨むようにして目を開く。
幻覚は消えていなかった。
ふわ、と掛けられた毛布は温かかった。
でも、それで幻覚が消えるかと言われたら全くそんなことは無かった。
また、目を瞑り幻覚を見ないようにする。
そして、ひたすら焼けるような傷の痛みに耐える。
「何か、抱き枕のような物はありませんか？
クッションでもいい。」
「昴くん、これはどうじゃ？」
目を瞑り、何も見えないうえに、色んな話し声も聞こえるが、その中にやっと、2人の会話が聞える。
今日の幻覚は久しぶりに暴発したせいか酷かった。
「Aさん、これを。」
『…』
私は涙を貯めた真っ赤な目で、何かを渡す誰かを睨んだ。
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from bathroom(プロフ) - うり太郎さん» コメントありがとうございます！多分恐らくMaybeで書いた記憶がありますので是非読んで頂けると嬉しいです…！！(もし書いてなかったら土下座しながら土を掘らせていただきます…(; ;)) (2021年8月22日 23時) (
レス) id: 462ac0c112 (このIDを非表示/違反報告)
うり太郎(プロフ) - 探偵社の社員なら社長の異能で暴走とか抑えられる筈ですが･････?普通に内容おもろいので好きです!そこのところだけ気になります!(まだ12ページまでしか読んでないのでその先に答えあったらゴメンなさい･･･!) (2021年8月16日 16時) (レス) id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
from bathroom(プロフ) - 架印�靴気�» コメント、ありがとうございます。個人的に互いにカマを掛け合って欲しくてハーフと世良真純に言わせました。しかし誤解を招くような表現にしてしまいすみません。早急に直します！ (2021年2月25日 0時) (レス) id: 462ac0c112 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 赤井一家の兄妹は、母親がハーフ（宮野エレーナとは姉妹関係）なのでクオーターです。 (2021年2月24日 19時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
from bathroom(プロフ) - 月夜さん» コメントありがとうございます、更新頑張ります〜！ (2020年6月10日 14時) (レス) id: 462ac0c112 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：from bathroom | 作者ホームページ：http://なし
作成日時：2020年5月16日 18時
