episode23 ページ27
『…誰ですか？』
「…沖矢です。」
人が人に見えない世界で、この人の区別はつかない。
私は沖矢さんを少しだけ残っている理性の中で探す。
やっと見つけた沖矢さんから、何かを受け取り、「横になってください」と言われるままに横になる。
受け取ったものはふわふわしていた。
私はそれに顔を埋める。
息が落ち着いてきた。
段々、傷の痛みが消えていく。
太宰さんがいないとやっぱ辛いものがあるな…。
と、ぼんやりと思う。
大分、落ち着いてきたがクッションに埋めた顔を上げられるほど意識がハッキリしてはいなかった。
意識がやっと普通に戻ってきた時、目と頭が少し痛んできた。
仕方がない。久しぶりの暴走だし。
私は頭を抑えながら起き上がる。
向かいソファでシチューを食べていた哀ちゃんと目が合う。
彼女は私の目をじいっと見た。
「目の色が戻ってる。
…Aさん、確か異能力持ってるって言ってたわよね。」
私は静かに頷く。
そして情けない…と落ち込んだ。
「昴さんに感謝するのよ。」
『沖矢さんに…？』
「ええ。そのクッションを抱かせたのは彼だから。」
『そうなんですね。』
「僕の話ですか？」
そう、ぬっと沖矢さんが現れた。
私はビクッと身体を揺らす。
しかし直ぐに、
『さっきはすみません、ありがとうございました。』
と、お辞儀をした。
「いえいえ。ところでクリームシチュー、食べられますか？」
と、クリームシチューが入った器を沖矢さんはミトンで持っていた。
その器は熱くないでしょ、と少し心の中でクスリと笑う。
『頂きます。』
私はそう笑いかけて、クリームシチューを受け取った。
「いただきます」と言って、食べ始める。
「今までああなった時はどうしていたの？」
哀ちゃんはそう言った。
私は太宰さんのことを教えた。
『私の上司に異能力を無効化できる人がいて、ああなった時その人に無効化してもらってたというか…』
「その人と出会う前は？」
『えっと…あ、ちょうどこんな感じに…
こんな感じ…？え？』
「どうしたの？」
『…いや、なんで沖矢さんがこの対処法知ってんのかなって。』
私は、んー…と唸る。
あの対処法は兄2人と真純の3人だけであみ出した対処法なはず。
…沖矢さんがなんで？
「Aさん、隣、いいですか？」
『え、あ、はい。』
沖矢さんが私の右隣に座る、と言うので私は持っていたスプーンを何気く右手に持ち替えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 792人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
from bathroom(プロフ) - うり太郎さん» コメントありがとうございます！多分恐らくMaybeで書いた記憶がありますので是非読んで頂けると嬉しいです…！！(もし書いてなかったら土下座しながら土を掘らせていただきます…(; ;)) (2021年8月22日 23時) (
レス) id: 462ac0c112 (このIDを非表示/違反報告)
うり太郎(プロフ) - 探偵社の社員なら社長の異能で暴走とか抑えられる筈ですが･････?普通に内容おもろいので好きです!そこのところだけ気になります!(まだ12ページまでしか読んでないのでその先に答えあったらゴメンなさい･･･!) (2021年8月16日 16時) (レス) id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
from bathroom(プロフ) - 架印�靴気�» コメント、ありがとうございます。個人的に互いにカマを掛け合って欲しくてハーフと世良真純に言わせました。しかし誤解を招くような表現にしてしまいすみません。早急に直します！ (2021年2月25日 0時) (レス) id: 462ac0c112 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 赤井一家の兄妹は、母親がハーフ（宮野エレーナとは姉妹関係）なのでクオーターです。 (2021年2月24日 19時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
from bathroom(プロフ) - 月夜さん» コメントありがとうございます、更新頑張ります〜！ (2020年6月10日 14時) (レス) id: 462ac0c112 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：from bathroom | 作者ホームページ：http://なし
作成日時：2020年5月16日 18時
