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35話 ページ35

1人になった部室で考えるのは、あの時あの瞬間。

及「くっそ…」

また勝てなかった。

何度挑んでも、立ちはだかる壁を越えることが出来ない…

悔しくてギュッと手を握りしめた時、控えめにノックされるドア。

及「はい。」

『失礼します。』

ノックと同じ、控えめに開かれたドアの向こうには彼女の姿。

及「Aちゃん…本当に来てくれたんだ…」

どこか自身なさそうな彼女は小さく頷いた。

及「入れば?」

立ち上がって彼女の手を引き部室のドアを閉める。

ふと見ると、彼女の首に汗が滴り急いできてくれたことが分かった。

俺やっぱり愛されてるな、なんて空気に似合わないことが頭をよぎる。

及「Aちゃん、負けちゃった。」

『そうですね…』

及「かっこいい所、見せたかったんだけどな。」

彼女の両手を包み込んだ手に少しだけ力が入る。

ハッとしたように俺を見上げた彼女は、次の瞬間には優しく笑っていた。

『十分、かっこよかったですよ。』

負けたのにかっこいいわけないじゃん。と返そうとしたのに、毒気を抜かれてしまった。

『だから、早くその不細工な笑顔どうにかしてください。』

及「ははっ、相変わらず厳しいなー。」

手を引きよせ抱きしめれば、彼女の肩口に顔を埋める。

控えめに回された腕が、優しく背中を撫でた。

及「おっれは、イケメンっだよ…」

『そうですね。』

及「ぶっさいくなんかじゃ、ないんだからねっ」

『分かってますよ。』

途切れ途切れ言葉を発する俺に対し、クスクスと笑っているAちゃん。

『私はどんな及川さんも好きですよ。』

及「前、嫌いって言ったよっ」

『それは…他の女の子に、無理して笑ってるからです。』

及「なんだっ…結局嫉妬?」

『悪いですか。』

及「悪くないよっ…Aちゃん本当俺の事好きだねっ。」

軽口をたたいていたら、だんだんと落ち着いてきた。

『ずっと好きだって言ってます。』

及「そう、だったね…」

ソッと彼女から離れると、『目、真っ赤ですよ』とからかわれた。

及「よし、もう大丈夫。」

『帰りますか?送ります。』

及「ねえ、Aちゃん。そろそろ俺にもかっこつけさせてくれない?」

『及川さんはかっこいいですよ?』

及「そうじゃなくて!さっきも今から行きますって強引に電話切ったと思ったら、すぐ来てくれちゃうし…これじゃ及川さんが女みたいじゃん!」

『はっはあ…でも及川さんに会いたいって言ってもらえたの嬉しくて…』

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設定タグ:ハイキュー! , 及川徹 , 青葉城西   
作品ジャンル:アニメ
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ポチ - 天女楽しみに待ってます!これからも頑張って下さい!! (2017年3月30日 9時) (レス) id: 69ba502fbd (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - ポチさん» コメントありがとうございます!わぁぁあぁぁ!嬉しいです(*'▽')これからも頑張りますね!了解です。天女も自信がついたら更新再開しようかなーと考え中なので、その時はよろしくお願いします! (2017年3月29日 21時) (レス) id: 8381412bff (このIDを非表示/違反報告)
ポチ - 本当に面白かったです!私は、炭酸さんの小説大好きなのでこれからも頑張ってください!出来れば、天女も消さないでほしいです (2017年3月29日 11時) (レス) id: 69ba502fbd (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - アンゴラさん» うわあああああありがとうございます(T_T)本当に嬉しいです!はいっ!頑張りますね(o^^o) (2017年3月6日 11時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
アンゴラ - はじめまして、今まで読んできた恋愛夢小説の中で一番と言っていいほど素敵な作品でした!主人公の女の子のさっぱりしてるけど、ちゃんと及川さんの事が大好きだし、及川さん自身のことをちゃんと考えてあげられる所がグッときました!これからも頑張ってください! (2017年3月5日 20時) (レス) id: adb7c58c2f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:炭酸 | 作成日時:2017年1月10日 0時

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