32話 ページ32
大会が翌日に迫った練習前。
花「おーい。差し入れー!」
花巻が嬉しそうに大きな袋を下げて体育館へ入ってきた。
及「へ?差し入れ?」
準備をしていた及川は顔だけそちらに向ける。
花「部員皆さんでどうぞだって。」
松「おー。もしかしてAちゃん?」
花「あったりー!」
松川から聞こえたその名前に及川は走り出す。
岩「あっおいクソ!」
岩泉の罵声も受け流し花巻に詰め寄った。
及「何でAちゃんからの差し入れを、マッキーがもってるの!」
「俺が全然会えてないのに!」と鼻息荒く問いただしている。
そんな及川に若干引け腰の花巻。
花「たっ…たまたまそこで会ったんだよ…」
及「もーーー!マッキーだけずるい!明日大会なのに…Aちゃん頑張れとも言いに来てくれなかったんだよ…?」
岩「女々しいぞくそ川!」
松「そうだそうだー。」
どうやら彼女から直接励ましの言葉をかけてほしかったようだ。
しかし少しの期待もはかなく砕け散った及川。
完全にいじけモードに突入した。
松「これまためんどくさ。」
岩「ですよねー。ほっとくか。」
及「ふん!」
そんな及川を見て花巻は苦笑いで口を開く。
花「及川主将、今日は大会前だし、練習も早く終わりますよね?」
及「そうだよ。怪我でもしたら大変だしね。明日に向けて体休めないと。」
ふてくされながらも質問には答える及川。
花「そんな及川主将に朗報です!」
花巻の言葉に3人が不思議そうな顔をする。
花「Aちゃんに部活終わるまで口留めされてたんだけど…及川がめんどくさいから言うわ。」
及「何をッ!?」
花「部活終わるまで待ってるから、一緒に帰りましょう。だってさ。」
体育館の外を指差して花巻が言う。
岩「まじか。随分気の長い彼女だな。」
松「俺達も一緒に帰ろっかなー。」
一瞬ぽかんとした及川だったが、すぐさま体育館の外へと駆けだした。
及「2人で帰るの!皆は先帰ってよね!」
そうしっかり言い残しながら。
花「あーあっ俺Aちゃんに怒られちゃう。」
花巻のそんな呟きも当然及川には聞こえていなかった。
体育館のドアを開ければ、昇降口に見えた彼女の姿。
及「Aちゃん!」
大きな声で名前を呼ぶと、びくっと肩が動いた。
及「どこ行くの?練習、見て行けば?」
及川の言葉に首を横に振る。
『教室で勉強してます。終わったころ来ますから。』
及「そう…差し入れありがとう。」
『いえ、部活頑張ってください。』
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ポチ - 天女楽しみに待ってます!これからも頑張って下さい!! (2017年3月30日 9時) (レス) id: 69ba502fbd (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - ポチさん» コメントありがとうございます!わぁぁあぁぁ!嬉しいです(*'▽')これからも頑張りますね!了解です。天女も自信がついたら更新再開しようかなーと考え中なので、その時はよろしくお願いします! (2017年3月29日 21時) (レス) id: 8381412bff (このIDを非表示/違反報告)
ポチ - 本当に面白かったです!私は、炭酸さんの小説大好きなのでこれからも頑張ってください!出来れば、天女も消さないでほしいです (2017年3月29日 11時) (レス) id: 69ba502fbd (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - アンゴラさん» うわあああああありがとうございます(T_T)本当に嬉しいです!はいっ!頑張りますね(o^^o) (2017年3月6日 11時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
アンゴラ - はじめまして、今まで読んできた恋愛夢小説の中で一番と言っていいほど素敵な作品でした!主人公の女の子のさっぱりしてるけど、ちゃんと及川さんの事が大好きだし、及川さん自身のことをちゃんと考えてあげられる所がグッときました!これからも頑張ってください! (2017年3月5日 20時) (レス) id: adb7c58c2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:炭酸 | 作成日時:2017年1月10日 0時