【HQ!】形勢逆転【及川徹】

11話 ページ11

デートをしようと言った俺に、Aちゃんは物凄い嫌そうな顔をした。

何度も断られたが、押し切って押し切って今日にいたる。

っていうか、デート断られるとか初めてなんだけど！

念には念を入れ、HR終わってからすぐ逃げられないように矢巾ちゃんに足止めを頼んでおいた。

急いで彼女の教室を訪れれば、矢巾ちゃんと雑誌を見ながら雑談している。

その距離の近さに一瞬もやっとするが、頼んだのは自分だ。

及「Aちゃん、矢巾ちゃーん！」

『うげっ…及川さんっ！』

声をかけながら教室に入れば、顔を歪めたAちゃん。

それが彼氏に対する態度なのか…

矢「及川さんっちーす！」

及「矢巾ちゃんありがとねー。あとAちゃんうげって酷いからね。」

『なっ…矢巾お前敵だったのか！』

俺が矢巾ちゃんに声をかけると、状況を理解したAちゃんが矢巾ちゃんを睨みつける。

矢「Aごめーん！」

危機を感じたのか、矢巾ちゃんは謝りながら凄いスピードで帰って行った。

『くっ…なんてやつだ。』

及「それじゃ、行こうか。」

Aちゃんの鞄を持って、手を繋ぐ。

『えっ、いや、及川さん。鞄くらい自分で持てますし…出来れば手は離してほしいなー？なんて。』

及「Aちゃんは鞄じゃなくて、俺の手持ってればいいのー。」

教室を出れば、予想通り多くの視線が俺達に集まった。

『返してくださいー！及川さんに荷物持たせるなんて、私殺されますッ…』

及「誰も殺さないでしょ。」

予想以上に青ざめているAちゃん。

及「手繋いでてくれるなら、荷物返してもいいよ？」

『えぇー…うーん。」

そう提案すれば唸って悩み始める。

『じゃっじゃあ！学校出たら手繋ぎますからッ…」

及「それじゃダメ―。」

学校を出てからじゃ意味がない。

なんせ今日は俺とAちゃんの仲を見せつけるのが目的だから。

『分かりました…鞄返してください。』

観念したのか、繋いでいない方の手を差し出すAちゃん。

及「おっ意外と素直ー。」

『ここ数日で及川さんの強引さと頑固さを学びましたから。』

鞄を渡してあげれば、肩へと掛け直した。

及「そう言えば、さっき矢巾ちゃんと何見てたの？」

『雑誌ですよ。アクセサリー買いたいんだけど、どっちがいい？って見せられて。まさか及川さんの差し金だとは思いませんでした。』

及「そっか。だってこうでもしないとAちゃん逃げちゃうでしょ？」

『うっ…嫌だなー！そんな事あるわけ…』

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