標的42 信頼 ページ47
ランチアの元に1羽の鴉がやってくる。
日雇いの土木作業員として働いていたランチアは、首に提げたタオルで汗を拭い、チラリと一瞥する。こんな真昼間に鴉が出るのは珍しいなと少し疑問に思うも、大した興味もなく、再び作業に戻ろうとした。
すると鴉の鳴き声とともに聞き慣れた人の声がかぶさって聞こえる。それは骸の声だった。
｢復讐者に捕まりました。一刻も早くこの場から逃げなさい。私は大丈夫です。時間はかかりますが、必ず戻ります｣
カーカーと忙しなく鴉が鳴いているだけに過ぎない場面だが、ランチアは肝が冷えた。復讐者に捕まるということは、つまり裏の世界にとっては死を意味する。生命の死ではなく、監獄から出られず一生をそこで過ごすのだから、人間として死ぬのだ。
骸がそんなヘマをやらかすような人間とは違うとランチアにはわかっているので、きっとなにかに巻き込まれたせいで、捕まったのだと考えた。
助けに行くべきかどうか。骸ならば、ランチアたちの助けがなくても、脱獄ぐらいいとも簡単にできるだろう。なにせ普通のマフィアとは違う力を持っているのだ。ならばランチア達がすべきことは、脱獄した後にすぐに日本へ経つ準備…つまり資金集めである。
｢…犬たちに伝えてくれ。このまま資金集めに尽力しろと｣
コクリと鴉が頷くと、空へと飛んでいく。
骸なら大丈夫だ。あいつはこんなところで留まるやつじゃない。
ランチアは、そんな確信を持って作業へと戻った。
＊
何がどうなってか監獄に入れられたわけですが、罪がそれほど重くないせいか、大部屋の牢屋に入れられました。
刑期は問答無用で終身刑でしたね。おそらくここに捕まるという時点で、普通の犯罪者よりも凶暴かつ残忍な罪を犯しているのですから、ほぼ全ての囚人は終身刑でしょう。
周りを見渡すと、ほとんどが僕よりも年上の人ばかりです。子供は僕くらいでしょうか。僕ってどう見ても格好の餌食ですよねぇ…
幻術や幻覚を無効化する建物なのか、一切そういった攻撃が出来ませんが、洗脳ぐらい言葉で出来ますし？正直脱獄だってヌルゲーでしょうし？
まあいい機会ですし、日本へ行った際の作戦や、やるべき事を詰めておきましょうか。
そうだ、これだけ元マフィアがいるなら色んな情報を持ってるでしょうし、集めて行きましょう。ついでに力になりそうな人物に声をかけるのもいいかもしれません。
それにしてもランチア達は、無事逃げたんでしょうか…
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南条(プロフ) - 黒猫♪♪さん» 感想ありがとうございます！とても励みになります…！ (2018年4月10日 7時) (
レス) id: 05ac4354b9 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫♪♪(プロフ) - とても面白いです！自分のペースで更新頑張ってください！ (2018年4月7日 4時) (レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：南条 | 作成日時：2013年8月30日 0時
