標的38 分かつ ページ43
やってしまった、と気づいた時にはもう遅く。僕はお世話になったファミリー全員を手にかけていました。
きっかけは、ボスに僕がエストラーネオファミリーを全滅させ、指名手配されている子供だとバレてしまったことです。
おそらく僕が禁弾を所持していることを子供に見られて、そこからバレたのでしょう。
罪を黙っていたことがボスにとっては酷い裏切りに感じたと思います。可哀想な孤児だと思い、手助けすれば、それは犯罪の幇助だったのですから。
今すぐ警察に出頭すべきだと言われました。それはできないと答えると、今までの裏切りは到底許せるものではない。これまでの伝統に従ってお前を粛清する、と。
銃口を向けられた時、撃たれてもいいかと一瞬だけ思いました。いくら私の意識はなかったとはいえ、僕が犯した罪は本当ならば裁かれるべきことです。
しかしここで捕まってしまえば、もう今後親の復讐も、親友への再会もできなくなります。それだけは、絶対に避けたい。
僕はボスを殺すつもりなどなく、武器の無効化だけして、さっさと犬たちと脱走しようと思っていたのです。
しかし次第に体が思うように制御出来なくなりました。心の底から怒りと殺意が湧いてくるのが分かります。まるで別人かのような感情に、僕自身戸惑います。
僕の体に染み付いたこのマフィア嫌いは、これほどまでに復讐心を燃やしていたのかと。自分自身を俯瞰しているような心持ちです。
そうしてボスが引き金を引いた瞬間、その弾に反転の幻術をかけて、自決したようにしたのです。
ボスは僕の術に為す術なく、目を思い切り見開いて、｢お前ら…｣という言葉を遺して逝ってしまいました。
後ろを振り返ると数人の構成員たちに見られていたようです。構成員はそのまま勢いよく僕を殺そうと向かってきます。
―――胸が苦しい。どうか歯向かはないでください。この体は今、暴走している。
僕はそれをなんなく返り討ちにし、あっという間に鎮圧してしまいました。
ようやくその頃には、自分の意思で体を動かせるようになってきます。僕はまた罪を重ねてしまったのです。
早く犬たちと合流しなければ。おそらく銃声を聞いて騒ぎをなんとなく嗅ぎつけ、逃げる準備をしているでしょうから。
しかし早くしなければと焦っているのに、僕はそこから1歩も動けなくなってしまいました。
それからランチアにやってきて、優しく手を差し伸べられ、思わずその手に……縋ってしまったのでした。
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南条(プロフ) - 黒猫♪♪さん» 感想ありがとうございます！とても励みになります…！ (2018年4月10日 7時) (
レス) id: 05ac4354b9 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫♪♪(プロフ) - とても面白いです！自分のペースで更新頑張ってください！ (2018年4月7日 4時) (レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：南条 | 作成日時：2013年8月30日 0時
