標的39 再び ページ44
僕はランチアにこれまでの事を話すことにしました。今まで誰にも話さずにいたこれまでの痛み。僕は限界だったのかもしれません。
すると彼は、これからは俺がお前を止めてやる。復讐も、殺さない他の方法で手伝ってやる。だから人を殺すなと言ってくれました。
まるで本当の兄のようだと思いました。どうしてここまで親身になって助けてくれるのでしょう。憎き相手であるはずなのに。
疑問に思いつつも僕達は新たにランチアという仲間とともに、再び放浪の旅に出たのです。
少し年の離れた保護者がいることで僕達は今までよりも格段に動きやすくなりました。孤児だという憐憫の目を向けられなくなっただけでも、だいぶ精神的に安定します。
犬たちは、僕がファミリーを壊滅させたことについて、特になにも言ってきませんでした。びっくりはしていましたが、特に糾弾することもなく、ランチアと同じように着いてきてくれています。
なんというか、僕達って本当に異常ですよね。その異常性のおかげでこうして仲間として成り立ててはいるのですが。
また街を転々としながら生活していると、M.Mという子がマフィア界を引っ掻き回しているので見つけ次第連絡をくれと、どこのファミリーにも言われるようになりました。
なんでも依頼を引き受けては、ハチャメチャにして返すのだとか。マフィアに嫌がらせとは命知らずですが、こうして捕まっていない以上それなりに腕は経つのでしょう。
しかしまあ、件の彼女に現在進行形で付きまとわれているんですけどね。
「骸ちゃん今日はどこ行くの?」
「今日も元気そうですねミーラ」
路地裏で女の子がゴロツキに絡まれていたので助けようとしたら、彼女一人で片付け、出る幕もなく帰ろうとしたら、何故か懐かれました。
外見の特徴は聞いていたので、すぐにあの人騒がせなM.Mだとわかったのですが、現状特に困ったことはされてませんしわざわざファミリーに突き出す必要もないので、何もしていないのですが、なぜにこんなに好かれているんでしょうねえ…。
今日も今日とて仕事をしようと、外に出れば高確率で遭遇します。
迂闊に人前で変身は出来ないので、こうなればこの姿でできそうな仕事を探すしかありません。
しかし正直M.Mがいると稼ぎは良いです。彼女も孤児だと言っていましたが、どうやらこの辺の人たちとは友好な関係を築いているらしく、仕事途中に色んなものをくれます。助かるには助かるんですけどね。
76人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
南条(プロフ) - 黒猫♪♪さん» 感想ありがとうございます!とても励みになります…! (2018年4月10日 7時) (レス) id: 05ac4354b9 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫♪♪(プロフ) - とても面白いです!自分のペースで更新頑張ってください! (2018年4月7日 4時) (レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:南条 | 作成日時:2013年8月30日 0時