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「本当に乗せなくて大丈夫なのか？今のAは危なっかしい」
「大丈夫です、自分の身は自分で守ります」
ユキトは車に乗り込む直前Aを乗せて行くと言い始めた
その言葉がAの中で何故か引っかかり、
結局は断ってしまった
ユキトはAを酷く扱うような上司ではない
むしろ優しすぎるくらいだ
まあ、それがAからしてみればなによりも怖い性質なのだが
本当に断って正解だった？
離れていくユキトの車の後ろ姿を見つめAは不安に思った
やっぱり、ユキトさんは怖い…
自然とハンカチを持つ手の握る力が強くなる
薄く赤茶色に染まる白のハンカチ
外に出てから、ユキトが
Aに付いた返り血を拭いたハンカチだ
もう、失敗はなくそう
できるだけ、
もっと頑張って…
踵を返し、Aは家へと歩き始めた
遠いがAはもう慣れている
空は夜に差し掛かり紫色に濁り始めていた
見慣れた街並みがネオンに光りだす
賑やかな商店街を抜け、Aの家近くまで差し掛かると
通りかかった先の路地では1人が3人の男に暴力を振るわれていた
ここでは普通のことだ
可哀想だがほっとくしかない
目線外し、家に向かおうとした
「…あの」
「、あぁ？」
3人のうちの1人がAに目を向けた
いつのまにか、Aは話しかけていたらしい
「今日のAは危なっかしい」
Aの頭の中でユキトの言葉がやけに思い出した
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作者名：りんりん | 作成日時：2018年4月14日 20時
