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高いところに設置された看板や屋根のせいで日光が遮断されて、いつもは明るく活気溢れるこの通りも少し薄暗い。まあ、それはきっとこの気分が錯覚させているだけだろう。

人々の喧騒に掻き消されずに音となって聞こえてくる、二人の足音。
なんだかこの空間が少し非日常的で不安になる。でも左手から伝わる温かい熱と、とくとくと微かに振動する彼の生きる証でその不安も少しだけ和らいだ。


「どこの店も開いてへんなぁ…最期くらいぱーっとケーキとか食べたかってんけど」

「今から家帰って作る?」

「えーめんどいやん」


面倒くさがり、ずぼら、飽きやすいの三つを兼ね備えた彼は不満をこぼした。
なら何するの、と投げかけると彼はわからん、なんて答えにすらならないものを返してくる。

4月がもうすぐ終わろうとする今日、4月だけでなく世界丸々終わりを迎える。

といってもどこまでがなくなって、どこまでが残るとかは知らない。興味がない。だって少なくとも私たちはなくなる側だから。その後の世界なんて知っても意味がない。そんなことに記憶容量を消費するくらいなら、彼のくだらない一言一言を覚えたほうがよっぽどいいと私は思う。

そもそも、何で私たちは世界最後の日をただの幼馴染と共有しているんだろう。親友でも、恋人でもないのに。
多分、たまたま家の前でばったり会っただけ。それ以上も、それ以下の理由もいらない、きっと。


「どんな風に世界滅亡するんやろなぁ…」

「そもそも私たちって、こう…どかーんって爆発して消えるのかな」

「うわぁ…痛そう嫌やそんなん」

「じゃあ、どんな風に消えたいの、坂田は」


でももし理由があるとするならば。
私たちがこうやって、二人並んで手を繋いで歩いて、話すのはきっと慰めあってるだけ。こんな年で終わるなんて可哀想だねって。

その中に、ほんの少しの期待を抱くくらいは許してほしい。
そして、その期待の中に隠れる私の気持ちを、君に暴いてほしい。


「…Aと、恋人同士って関係で消える…っていうのはどう?」


それってすごく、ロマンティックだ。

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作者名:しふぉん | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年6月14日 20時

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