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・
その行動に感じる違和感
何故だろう 胸騒ぎが止まらない
「最後まで見逃さないでね」
囁く君の笑みが真顔になり
ふわりと身体が浮かび ひらりと舞い上がる
危ない！
そう感じた瞬間 身体は勝手に動き
僕は君の手を掴んでいた
驚いた君の顔
高さに慌てる僕
スローモーションで流れてく場面
ゆらり くるりと翻す天鵞絨
二人を包み込んだと思ったら
天鵞絨は互いの羽根に変わる
緩やかに広げた翼
風を纏いながら羽ばたいて
このまま僕らは何処へ行くのだろう
いや もう解ってる
地面に落下して全てが砕け散るんだ
なのに…僕らは何故か宙に浮いたまま
握りしめた手の感触だけがリアルに脈打つ
そっか…僕らはこのままいなくなるんだ
きっと…二人だけの秘密の場所に行くんだ
君と二人なら それも悪くない
穏やかに二人 笑っていられるなら
…それだけで…
天鵞絨越しの君の笑顔
遠のく光が曇らせて君が首を振る
何を間違えたのか気付かない僕
思わず瞳を閉じれば 身体中に走る電流
そして…次の瞬間
僕の記憶はプツリと途切れて
林檎の香りだけが裏側に残っていた
・
「先生 さようなら」
生徒たちが声をかけ横切る渡り廊下
騒がしい集団が過ぎると
人がいない訳ではないのに静寂が広がる
でも それは一瞬の出来事
工事現場の破壊音が響けば
フェンスで囲まれた場所が嫌でも目に映る
渡り廊下の手摺にもたれてそれを眺める
屋根が崩れ落ちる瞬間
僕と君の秘密の場所の欠片は
保護幕の向こう側へと散り去って行った
老朽化と耐震性の問題で
講堂の取り壊しが決まったのは今年
僕はポケットに手を突っ込み取り出す
赤いリボンがついた古ぼけた鍵が一つ
それを利用したのはつい先日
壊される前に恐る恐る足を掛ける梯子
忍び込んだあの屋根裏
少し錆びついた鍵穴に差し込めば
随分開けなかった扉の軋む音越しに埃が舞う
…そして…
明り取りの窓に照らされて君が微笑む
『誰にも見つからなかった？』
「うん、大丈夫」
いつもの様に返事すれば安心した様に
君は消えて そこは殺風景な情景が広がる
朽ち果てていく全てに君はいなくて
無造作に置かれて色褪せた天鵞絨の
鈍い紅色の跡だけが存在感を示し
二人の時を留めていた
…僕は何を守ってきたのだろう…
いや ある意味守ったのか
目の前を過ぎて散っていく欠片たち
雲の流れに合わせて記憶を遠のかせる
そっと溜息を吐けば
肩に掛かる重みと聞き慣れた声がした
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青山白樹(プロフ) - だんぼさん» (；ﾟДﾟ)何でその設定が解ったんですか？まさか女学生がだんぼさんモチーフだって事がバレてました？笑雨の日のお迎えって面倒臭いけど2人の距離が縮まる気がしますよね。雨に濡れると甘さを増す香りの中いつまでも優しく甘い2人でいて欲しいと願いを込めました。 (2019年6月29日 18時) (
レス) id: dc26697653 (このIDを非表示/違反報告)
だんぼ(プロフ) - 青っち〜天邪鬼で意地っ張りで、でもすごく分かりやすいあの子♪ 蒸し蒸しとした季節ですが爽やかなお話の贈り物 どうもありがとう♪ただひとつだけ心配なのは傘を貰った女子が腐ってたら…（笑）ガン見され尾行されてるかも〜2人ともッ背後に注意よ〜（笑） (2019年6月29日 13時) (レス) id: b513b55378 (このIDを非表示/違反報告)
青山白樹(プロフ) - やまさん» やまさんこちらにも感想ありがとうございます。雨で諦めてたピンクムーンを早朝見つけて朱鷺色に染まり始める空の中の月がほんのり染まった様に見えたんです。ピンクと言っても実際の色とは関係ないのですが。こんな場面なら小さな秘密もきっと特別になりますよね。 (2019年5月22日 10時) (レス) id: dc26697653 (このIDを非表示/違反報告)
青山白樹(プロフ) - やまさん» 素敵な感想ありがとうございます。昔近所に古い喫茶店が有り覗いたら意外に混んでいる店内に驚いた事があります。やまさんの話を聞いて思い出して書いてみました。ソーダ水頼んでもアイスを乗っけるそんな優しいマスターと何かが始まる予感を感じて戴ければ幸いです笑 (2019年5月22日 10時) (レス) id: dc26697653 (このIDを非表示/違反報告)
やま(プロフ) - そして、一つ前のお話も大変遅ればせながら拝読させていただきました。まさに桜月夜の宵！！桜色に染まる月の光を浴びる睦じいお二人に、胸がきゅんとします♪ (2019年5月22日 1時) (レス) id: 0f4c7ca2f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青山白樹
作成日時：2014年10月2日 12時
