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停留場から歩いて1分
無料のバスに乗って5分
山麓駅から乗り込んで
今、僕たちはロープウェイの中
流石に文庫本は鞄にしまって
君は窓ガラスにくっついて景色を見ている
新緑の眩しい季節
遠くに見える隙間の海
さっきまでその場にいたなんて嘘みたいな
ミニチュアみたいな街並み
鉄塔を越える度に感じる揺れだって
アトラクションみたいで
なんとなくワクワクする
「反対側のゴンドラに手を振ってみましょう」
車内アナウンスに律儀に手を上げても
振る暇なんてなくて
あっという間にすれ違って行く
行き場をなくした掌は
所在無く窓ガラスを捉える
そんな僕を横目で見て
気にしないそぶりを装いながら
若干、上がる口角
……何だ、君も楽しいんだ
僕も同じ様に口元を緩ませた
僅か5分程の空中遊泳を終えると
次はケーブルカーが出迎える
痛い出費になったけど
どうせなら頂上からの景色を眺めたい
そう、どうせサボるなら思いきり…
ケーブルカーがレールを登る様は
まるでジェットコースター
ちらっと君を見れば
相変わらずのクールな雰囲気
別にアップダウンするわけでも
回転したり捻るわけでもないけど
胸が高まるのを感じながら
僕らは頂上を目指していた
・
標高531メートル
広がるパノラマに
いちいち映りこむのは、定番の鐘
何でこういう所って
恋人たちの聖地にしたがるんだろう
確かに夜景は綺麗らしいし
観光が成り立つのなら
ついつい大義名分をつけたくなる
そんな気持ちも解るけど
2人で鳴らす鐘の音や
手摺につける南京錠よりも
この景色を眺めた方が
大切な何か見つかる気がする
……と言っても恋人同士でもない僕らには
どうでもいい事だけどね……
取り敢えず手摺に身体を預けている君の隣で
僕も同じ姿勢で下界を見ていた
「ねっ、鐘鳴らす？」
しばらく黙っていた君が
発した言葉に思わず耳を疑う
「えっ？何で？」
「ここまで来たから…なんとなくせっかくだし…」
いやいやいや
なんとなくせっかくだしで鐘を鳴らす？
……だって誤解されない？
まぁ、ここには勘違いされて困るような
友達や知り合いはいないけどさ…
「こういうのはやっぱりそういう仲じゃないと」
良い子ぶっている訳じゃないけど
気持ちが通じ合ってからじゃないと
なんだか勿体無いじゃん
「ふぅ〜ん。案外、真面目なんだね」
君はクールな表情を崩さず
ポツリと言葉を零した
何故だろう
それは妙に悲しい響きだった
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青山白樹(プロフ) - だんぼさん» (；ﾟДﾟ)何でその設定が解ったんですか？まさか女学生がだんぼさんモチーフだって事がバレてました？笑雨の日のお迎えって面倒臭いけど2人の距離が縮まる気がしますよね。雨に濡れると甘さを増す香りの中いつまでも優しく甘い2人でいて欲しいと願いを込めました。 (2019年6月29日 18時) (
レス) id: dc26697653 (このIDを非表示/違反報告)
だんぼ(プロフ) - 青っち〜天邪鬼で意地っ張りで、でもすごく分かりやすいあの子♪ 蒸し蒸しとした季節ですが爽やかなお話の贈り物 どうもありがとう♪ただひとつだけ心配なのは傘を貰った女子が腐ってたら…（笑）ガン見され尾行されてるかも〜2人ともッ背後に注意よ〜（笑） (2019年6月29日 13時) (レス) id: b513b55378 (このIDを非表示/違反報告)
青山白樹(プロフ) - やまさん» やまさんこちらにも感想ありがとうございます。雨で諦めてたピンクムーンを早朝見つけて朱鷺色に染まり始める空の中の月がほんのり染まった様に見えたんです。ピンクと言っても実際の色とは関係ないのですが。こんな場面なら小さな秘密もきっと特別になりますよね。 (2019年5月22日 10時) (レス) id: dc26697653 (このIDを非表示/違反報告)
青山白樹(プロフ) - やまさん» 素敵な感想ありがとうございます。昔近所に古い喫茶店が有り覗いたら意外に混んでいる店内に驚いた事があります。やまさんの話を聞いて思い出して書いてみました。ソーダ水頼んでもアイスを乗っけるそんな優しいマスターと何かが始まる予感を感じて戴ければ幸いです笑 (2019年5月22日 10時) (レス) id: dc26697653 (このIDを非表示/違反報告)
やま(プロフ) - そして、一つ前のお話も大変遅ればせながら拝読させていただきました。まさに桜月夜の宵！！桜色に染まる月の光を浴びる睦じいお二人に、胸がきゅんとします♪ (2019年5月22日 1時) (レス) id: 0f4c7ca2f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青山白樹
作成日時：2014年10月2日 12時
